学科 | メディア学科 | ゼミ教員名 | 竹内 幸絵 | 年度 | 2023年度 |
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タイトル | 恋愛ドラマにおけるリアリティの変化 ―『オレンジデイズ』と『silent』を比較して― |
内容 | テレビ離れが進行する昨今、恋愛ドラマ『silent(2022)』が大流行し、世間を騒がせた。かくいう私もsilent熱に飲み込まれた1人で、「聴覚障害」というありがちで見尽くしたテーマであるにもかかわらず、自分事のように夢中になっていた。しかし、最近は「恋愛ドラマに共感できない。」といった声をSNS上で見かけることが増えた。確かに、放送翌日までドラマの話題で持ち切りなんてことはめっきり減り、その代わりに、セリフや言動など、現実味がなく視聴者が少しでも違和感を覚えたものは、すぐさまSNS 上に出回るようになった。そう、王道で盛り上がる恋愛展開でも、多様性を描いていても、「リアリティ」が欠けていると今の若者は一気に冷めてしまうのだ。では、そのような時代になぜ『silent』はここまで多くの人の心を鷲掴みにしたのか?その要因の1つが「リアリティの質的変化」なのではないかと考えた。そこで、「聴覚障害×恋愛」という同様のジャンルを扱った『オレンジデイズ(2004)』を取り上げ、「恋愛における障壁の乗り越え方」に焦点を当てて比較することで、19年の時を経て恋愛ドラマにおけるリアリティはどのように構築・消費されてきたのか明らかにする。 |
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講評 | 自身がはまったドラマがなぜ社会の注目を集めたのか。筆者は当初そういった単純な興味でドラマ分析をしたいと話していたが、次第に「(ドラマの)リアリティの質的変化」という言葉を使い、興味の核心に迫っていった。筆者が選んだ二つのドラマはいずれも視覚障害者が主役のドラマだが、そのテーマが本論の主題ではない。近い設定の2004年と2022年の二つのドラマに18年の時を経てどのような違いがあるか、に焦点がある。論考中、丁寧に両ドラマの分析を重ねた上で記述された3.3.3共通点・特異点整理がこの論文のひとつの山場である。両者の共通点に例えば「心情変化が分かりづらいシーンで「独白」が使用される」「いずれも色での暗示がある」など脚本構成から舞台演出まで広範に目配りし論じている。こうした小括ののちに主題である「リアリティ」の相違点を4章で論じることで説得力が高まっている。筆者は論文執筆終盤で実は総括に苦労していたが、先行研究(宇佐美毅、2021)を熟読・評価し、最終的には「壮大から等身大に」をキーワードとした骨太の結論に仕上げてくれた。ドラマが憧れるものから共感を求めるものへと変化しているという肌感覚を持つ人は多いだろうが、本論ほど精緻にその理由を比較分析した論考はみあたらない。価値のある内容となった。 |
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キーワード1 | テレビドラマ |
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キーワード2 | 聴覚障害 |
キーワード3 | リアリティ |
キーワード4 | オレンジデイズ |
キーワード5 | silent |