卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名石田 万実 年度2023年度
タイトル目撃者インタビューに対する視聴者の反応から見る、現行の取材体制の問題点 ―安倍元首相銃撃事件を事例に―
内容 犯罪報道における事件の被害者及び加害者の人権侵害問題はかねてより研究されてきたことである。特に報道対象者の実名を公表することの是非に関しては、多くの議論が重ねられてきた。しかし事件目撃者などの第三者に焦点があてられることは殆どなく、彼らに関する研究はこれまであまりなされてこなかった。
そこで本稿では、2022年に安倍晋三元内閣総理大臣が銃撃された事件の際に放送されたある目撃者インタビューの映像の一つを基に、犯罪報道における事件第三者の人権侵害について研究した。具体的には、第三者の属性やインタビュー内容の分析と、またそれに対する視聴者の反応の傾向の分析を行い、現在の犯罪報道が抱える問題について人権という観点から検討した。
その結果、現在の犯罪報道の在り方、またそれに対する批判的な意見の多さが明らかになった。加えて、それを踏まえた今後目指されるべき報道の在り方を筆者なりに提言した。
講評 テレビメディアによる犯罪報道に対する視聴者の反応に焦点を当てた研究である。先行研究を精査し犯罪報道に関する議論をまとめ、女子高校生と思われる人物に対する目撃者インタビューを事例に選出した。目撃者の発言内容や話し方、表情、身振りを確認したうえで、視聴者によるSNSやインターネット掲示板への投稿を主に分析した。大量の投稿をその内容をもとに分類し、放送からの時間経過に伴う投稿量や意見の変化にも注目した。目撃者を心配する投稿や、放送局に否定的な意見が多いことを明らかにした。さらに発言の量や内容、属性が異なる目撃者のインタビューに対する反応と比較することで考察を深めた。SNSが普及した現在、マスメディアは取材対象者への配慮が必要であることを、具体的な研究を通じて提言した点が評価できる。
キーワード1 犯罪報道
キーワード2 第三者
キーワード3 人権侵害
キーワード4 インタビュー
キーワード5 SNS