卒業論文詳細

学科メディア学科 ゼミ教員名竹内 幸絵 年度2023年度
タイトルなぜ女子校は選ばれないのか ―女子校の魅力と世間的イメージの乖離―
内容 本論文は、女子校の数が減少している現実の中で、女子校が現在どのように女子校を自己規定し、女子校像を作り上げているのか、そして世間が女子校に対してどのようなイメージを抱いているのかについて明らかにすることを目的とした。女子校、男子校、共学校それぞれの教育方針の分析、女子校に対する認識に関するアンケート調査、女子校出身者へのインタビュー調査を行った結果、女子校出身者と共学あるいは男子校出身者の女子校像にずれが生じていることが明らかとなった。また、そのずれを深掘りすると、女子校出身者の持つ「個性」に対する否定的な考えや圧力が垣間見えた。ここには「個性」を尊重しようとする社会と、「個性」を認めない人々とのねじれが生じており、このねじれが女子校を取り巻く状況の根底にあるのではないか、そしてこのねじれを解消することができれば、女子校の持つ魅力は最大限発揮されるのではないかと結論づけた。
講評 女子校に小中高と12年間通った筆者が、近年女子大の閉校が聞こえてくる中で、女子校の存続意義の検証をと着想した卒業論文である。筆者はまず複数の学校のホームページのテキスト分析・比較から取り掛かった。そこで女子校ホームページには、良妻賢母や良き家庭人というワードはもちろん、旧来の世間的な女子校像、気品・教養という言葉もほぼ使用されていないと立証する。そして個性の尊重は、男子校・共学校よりも傑出していた。一方アンケート調査では、女子校に魅力を感じないという回答が多数を占めた。魅力を感じるという少数派にその理由を問うと、品性・教養の育成が選ばれた。学校が掲げる理念と世間的イメージの乖離である。これは筆者が卒業後出会った女子校以外の出身者が持つ女子校へのイメージに対する違和感と一致するものだった。もちろん卒論研究であるからバイアスは排除する必要がある。筆者自身が女子中高への満足度が高いことはバイアスになりうるが、本研究は客観的なテキスト分析とアンケート結果を照応してこれを立証した。個性を伸ばすという理念を実践している女子校の真の魅力に、個性を認めない社会が追い付いていない。本論の結論は、単に女子校だけの問題ではない。
キーワード1 女子校
キーワード2 個性
キーワード3 世間的イメージ
キーワード4 ねじれ
キーワード5 教育