学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 石田 光男 | 年度 | 2008年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | 再注目される『蟹工船』と非正規労働題 |
内容 | 2008年1月9日付朝刊の毎日新聞に掲載された高橋源一郎さんと雨宮処凛さんの対談の中で、「現在の派遣スタッフの状況と『蟹工船』の状況は非常によく似ている」という言葉をきっかけに、小林多喜二著の『蟹工船』が発表から約80年経過した現在、再び古典としては異例の売上を見せた。昨今の派遣スタッフをはじめとした、比較的に若年層にあたる非正規の労働者の状況と『蟹工船』に描かれている労働者の姿では、何が類似していて、何が違っているのかを、労働者を取り巻く状況や時代背景、貧困の度合いなどを中心に比較してみた。そこから、現在の派遣スタッフや非正規労働者の境遇は、社会から見放された結果なのか、それとも自己責任において今の状況に陥ったのかを考察した。 |
---|
講評 | 本年度から卒業論文の口頭試問を実施した。教員にとって負担も増えるが、これはすべきであると思っていた。実際、行ってみて学生にも緊張感があり一つのけじめとして意義がある。私自身も例年よりも卒論指導を早めにし、発表も徹底するようにした。学生、教員いずれにも効果がある。 卒論はいかに稚拙であっても、学生時代の決算ではある。いかに決算するか。そのさせ方に各人の個性が潜んでいるのがいい卒論だろう。問題意識が明確であるか、関連の研究に目を通しているか、その評価が自分なりの尺度をもってできているか、深く人一倍考えた点があるか。このあたりが私の着目している点である。とはいえ、それらがきちんとできるには30歳くらいまで勉強しないとだめで、卒論の評価の具体的基準は、論旨が通っているか、文献の数は多いか、正確に脚注が付されているか、という次元がものをいう。 私の本当の願いは、形式がおかしくても、結論も定かでなくても、人一倍こだわり考えたことがこういうことですと表現できている論文に出会いたいということだ。強烈な深掘りと言うべきか。 私自身の卒論の口頭試問については汗顔の記憶ばかりが残っている。主査が中西洋先生、副査が兵藤つとむ先生で、なんと40分の遅刻、しかも兵藤説は間違っているという内容、かつ兵藤先生の質問の意味がわからず中西先生に助けられて答える始末。それでも、そんなことが40年近く前のことでも鮮明に思い出されるのが今では懐かしい。 |
---|
キーワード1 | 格差 |
---|---|
キーワード2 | 貧困 |
キーワード3 | 非正規雇用 |
キーワード4 | 労働搾取 |
キーワード5 |