内容 |
現在、従業員数1000人以上の大企業のうち約8割の企業が何らかの形で成果主義を導入しているという。しかし、成果主義が日本の賃金制度の主流になりうるくらい価値のある賃金制度なのかというと、私は少々懐疑的に見ざるをえない。なぜ私は成果主義を懐疑的に見ているのか。それは、成果主義に否定的な意見の中に「公正な評価をするのが難しい」「評価に対する従業員の納得が得にくい」「上司や人事管理者が正しく成果や能力を評価してくれない」という評価の部分に対する意見が多数あることである。どんな賃金制度であっても、人が人を評価する以上、評価に対する従業員の不満というものは常に存在する。しかし、成果主義はこれまでの日本の賃金制度以上に、評価が処遇や給料にダイレクトに反映されてしまう。評価によって従業員の人生が大きく変わってしまうのだ。それだけに「公正な評価がなされる」「評価に対する従業員の納得を得る」というのは、成果主義が価値ある賃金制度として存在する上で最も重要な部分ではないだろうか。「公正な評価という観点から、成果主義における評価の不満をなくしていくためにはどうするべきなのか」というのが私の論文の出発点である。 |