学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 石田 光男 | 年度 | 2010年度 |
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タイトル | 郵便局における非正規雇用問題 |
内容 | 郵便局は、かつて国民にとって一番身近な役所であり、地方自治体と国民との架け橋の役割をしていた。その郵便局で働く郵政職員が所属する2大労組がJPU、全郵政である。かつて「権利の全逓」と言われ、「反マル生運動」や「物ダメ運動」など激しい組合運動を行った全逓(のちのJPU)と、旧民社党系の流れをくみ、かつて旧郵政省が人事政策でJPUよりも優遇した過去がある全郵政は長年激しく対立してきた。この2大労組が取ったのは「労使協調路線」。すなわち組合の専従役員は末端現場組合員の声よりも経営陣の意向に沿う姿勢を取り始めた。その象徴が「パワーアップ研修」「自爆営業の強要」だと言える。また日本郵政グループは約40万人の郵政職員を有するがその半数は非正規職員である。民営化に伴い大きく変化したのがゆうメイトと呼ばれていた非正規職員であり、6つに分けられた区分の中で、成績優秀者は昇進し正社員への昇進の道を開いているが、本人に評価内容がフィードバックされないなど不明慮な中での評価制度に疑問が残る。もはや非正規職員なしで現業務を維持することは不可能な日本郵政グループは、非正規雇用とどう向き合っていくのか。 |
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講評 | 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 印象に残る良き作品について若干の言及をしたい。「先生と私」は卒論テーマが定まらずに困った末に、ゼミの先生の研究をきちんと理解しようとした、素直で学生らしいよい卒論である。それも研究方法、研究態度を追いかけているのが優れている。私が何故、政策的指南を行わないのかをよく理解しようとし、その上で、にもかかわらず、私の研究は「生き方を指南している」という結論は鋭い。「教員組合のあるべき姿」は、わからないことを当事者にあたって調べるという産業関係論の実証的精神をよく体現した力作である。その心構えがよい。「感情と経験を言葉にする」は、西部氏の『人間論』をしっかり自分なりに読み込む努力が、通常の学生にない真摯さに貫かれていて私のような年配者に「もっと議論してください」と訴えているようで、誠に好感のもてる作品である。「グローバル社会で生き抜くための人材戦略」は私が唱える日本の伝統的人的資源管理の美点への「惑溺」的欠陥を若い世代の視点から覆そうとする、切迫感がすばらしい。心のこもった作品である。 また、最も嬉しかった作品は「日本の人事・賃金制度の歴史」である。何事にも無関心で無気力な同君が「私はこんなに変わりました」ということを喜びに満ちて表現しているからだ。教育をしていてめったに出会えなかった喜びだ。私が励ましを得た貴重な作品である。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 |
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キーワード1 | JPUと全郵政 |
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キーワード2 | パワーアップ研修と自爆営業 |
キーワード3 | 非正規区分 |
キーワード4 | 正社員登用 |
キーワード5 | 郵政民営化 |