学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 石田 光男 | 年度 | 2010年度 |
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タイトル | 迷える労働者 ~ワーキングプアの生活~ |
内容 | ワーキングプアとは、働いているにもかかわらず生活に困窮している人々のことである。ワーキングプアのほとんどは、フリーター等の非正規労働者で占められている。というのも、非正規労働者の多くが不安定な雇用条件の中で働き、収入もまた安定していないからである。中には、定住の場所を失い、インターネットカフェで生活している人々もいる。しかしながら、貧困にあえぐワーキングプアを救うための社会福祉制度が現在の日本に存在していないことが大きな問題となっている。頼みの生活保護制度も数々の受給要件を満たさなければ受給できないばかりか、「水際作戦」と呼ばれる行政の壁が立ちはだかっている。その日その日をギリギリの状態で切り抜け、過酷な労働環境の中で働くうちに、「自分は何をしているのか、何故働かなければならないのか」が分らないようになるほどの孤独で辛い生活をしている者もいる。仕事のやりがいを感じるためには、自分の中で仕事の形を定着させなければならないが、それに至るまでの過程が全くない単純労働もある。 |
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講評 | 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 印象に残る良き作品について若干の言及をしたい。「先生と私」は卒論テーマが定まらずに困った末に、ゼミの先生の研究をきちんと理解しようとした、素直で学生らしいよい卒論である。それも研究方法、研究態度を追いかけているのが優れている。私が何故、政策的指南を行わないのかをよく理解しようとし、その上で、にもかかわらず、私の研究は「生き方を指南している」という結論は鋭い。「教員組合のあるべき姿」は、わからないことを当事者にあたって調べるという産業関係論の実証的精神をよく体現した力作である。その心構えがよい。「感情と経験を言葉にする」は、西部氏の『人間論』をしっかり自分なりに読み込む努力が、通常の学生にない真摯さに貫かれていて私のような年配者に「もっと議論してください」と訴えているようで、誠に好感のもてる作品である。「グローバル社会で生き抜くための人材戦略」は私が唱える日本の伝統的人的資源管理の美点への「惑溺」的欠陥を若い世代の視点から覆そうとする、切迫感がすばらしい。心のこもった作品である。 また、最も嬉しかった作品は「日本の人事・賃金制度の歴史」である。何事にも無関心で無気力な同君が「私はこんなに変わりました」ということを喜びに満ちて表現しているからだ。教育をしていてめったに出会えなかった喜びだ。私が励ましを得た貴重な作品である。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 |
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キーワード1 | ワーキングプア |
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キーワード2 | 非正規労働 |
キーワード3 | ネットカフェ難民 |
キーワード4 | 水際作戦 |
キーワード5 |