卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名千田 忠男 年度2010年度
タイトル本の医療を良くするためには
内容  この論文では、現在の日本の医療を取り巻く様々な環境の問題点を考察しながら、その解決策を考えた。序章では厚生労働省の定めた医療構造改革の狙いをまとめ、第2章では日本医療(医療保障制度)の起原を述べ、第3章では、日本と他国の診療報酬の決定を述べた。他の先進諸国の現状と対策を見た上で、現在の日本で導入できることはないか考察を行った。第4章では、地域医療の中で最も問題になっている、医師と看護師の不足による地域医療の崩壊現象を述べた。次に世界有数の医療機器大国である日本の功績と世界でどのような位置にいるのかを述べ、機器の価格決定法、現状の問題点を洗い出し、解決策を提示した。第7章では、医薬品業界についての現状と特徴、問題点などを述べ、最後に「より良い医療の実現のためには」今後何が求められるかを展開した。方向としては、「医療費の適正化」と「医療の質の向上」の2点を挙げ、日本で受ける医療の進化系や、タイでの取り組みを述べた。全体の流れとしては患者が良い医療を受けるために、医療現場で働く人や病院、医療に携わる製品を生産する企業に対する改善策を、法や経済学などの観点を基に展開した。
講評  私が担当した20件の論考はすべて、目下の重要なテーマを取り上げている。それを大別すると雇用労働政策にかかわるテーマが11件と最も多く、次いで経済産業政策の課題7件、社会問題2件であった。このうち雇用労働政策に関する論考では男女共同参画事業にかかわる課題や仕事と育児を両立させる課題などが主に扱われていた。また、経済産業政策にかかわる論考では、グローバル化と不況対策を見据えた力作が多かった。
 ここの論考については次の点に即して評価した。
(1)社会問題をはじめとする政策課題にかかわる研究では、調査・探索によって事実を究明し、事柄の展開する道筋に即した問題解決策を提起することが重要である。そうした研究手続きが意識されることが必要であるが、そのことが意識されているかどうか。
(2)誰もが認識できる事実に対しても、その解釈は幾通りもあり得るという事情を十分に理解したうえで、合理的な解釈を導こうとしているかどうか。
(3)問題解決に向けて合理的であり、なおかつ実現可能な政策を立案しようとしているかどうか。
(4)以上に加え、これから社会で活躍する際に期待される意志と意欲を表現しているかどうかをも見て詳細に評価した。
 以上の視点にしたがって標記の論考を評価したところ、すぐれた研究成果であると判断できた。
キーワード1 医療
キーワード2 治療
キーワード3 医療機器
キーワード4 医薬品
キーワード5