学科	産業関係学科	ゼミ教員名	千田　忠男	年度	2010年度
タイトル	少子化と女性の社会進出

内容

近年、女性の社会進出が進み、子供を産んでも仕事を続けたいという女性が増えてきている。そうした影響で未婚化・晩婚化が進み、少子化へとつながる要因の一つとなっていると考えられている。女性のこういった意識変化は女性が子どもを産むか産まないかの選択が自由にできる世の中になっているというところにある。自由化によって子どもを産むことが自分にとって不利な条件になれば子どもを産まない、という考えが若い世代の女性には広がっている。夫婦関係の中で夫の収入に左右されず自由に働くか働かないかを選択でき、家事・育児は女性がするものという考えがなくなっている社会づくりにすることは、少子化を改善するためにも、親子ともに健やかな人生を送るためにも必要なことだろう。変化していく社会と共に、現代社会に生きる一人一人が多様な考えを持ち、思うように人生を選択して生きていこうとしている。これからも試行錯誤していきながら少子化の現代と向き合っていくことになるだろう。女性が家事・子育てをし、男性が働くというこれまで根付いてきた意識を完全に覆すことから始めるべきであると考える。男性と女性の賃金格差を埋め、“男性でも女性でもどちらか働ける方が働けばいい”というような柔軟な発想を持てる環境づくりが必要ではないだろうか。

講評

私が担当した２０件の論考はすべて、目下の重要なテーマを取り上げている。それを大別すると雇用労働政策にかかわるテーマが11件と最も多く、次いで経済産業政策の課題7件、社会問題2件であった。このうち雇用労働政策に関する論考では男女共同参画事業にかかわる課題や仕事と育児を両立させる課題などが主に扱われていた。また、経済産業政策にかかわる論考では、グローバル化と不況対策を見据えた力作が多かった。 　ここの論考については次の点に即して評価した。 (1)社会問題をはじめとする政策課題にかかわる研究では、調査・探索によって事実を究明し、事柄の展開する道筋に即した問題解決策を提起することが重要である。そうした研究手続きが意識されることが必要であるが、そのことが意識されているかどうか。 (2)誰もが認識できる事実に対しても、その解釈は幾通りもあり得るという事情を十分に理解したうえで、合理的な解釈を導こうとしているかどうか。 (3)問題解決に向けて合理的であり、なおかつ実現可能な政策を立案しようとしているかどうか。 (4)以上に加え、これから社会で活躍する際に期待される意志と意欲を表現しているかどうかをも見て詳細に評価した。 　以上の視点にしたがって標記の論考を評価したところ、すぐれた研究成果であると判断できた。

キーワード1	少子化
キーワード2	女性の社会進出
キーワード3	子育て支援
キーワード4	ワークライフバランス
キーワード5