学科	産業関係学科	ゼミ教員名	石田　光男	年度	2011年度
タイトル	企業別労働組合の変遷と役割の変化

内容

日本における企業別労働組合の発展と果たしてきた役割の変化、及びこれからの組合の在り方や役割について考察した。まず戦後日本を三つの時代に分けて、企業別労働組合の活動の歴史や果たしてきた役割を振り返った。続いて企業別労働組合の中央組織であるナショナル・センターの歴史を振り返り、果たしてきた役割を整理した。また、労働運動の中でも組合の在り方や意義を変えることとなった、二・一ゼネストと三井三池争議を取り上げ考察した。最後に、現在の企業別労働組合が抱えている課題と新たな取組みについて考察した。組合の過去と現在を対比させ、過去の組合の劇的な発展を支えたのは労働者のひたむきな情熱であったことを示した。その上で、今後企業別労働組合のさらなる発展に必要なことはもう一度「労働者の代表」という立場を取り戻すことであるとし、そのためには様々な立場の人々が徹底的に「話し合い」を行えるよう計らっていくことが重要であると強調した。

講評

卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 　そこからが君たちの出発である。 　いくつかのコメントをしたい。 第一、参考文献からの引用は丁寧にということを強調した。私は正直な論文が好きだ。だから他者からの引用と自分自身の言葉とを仕分けする作業は正直な自分になる作業である。その結果、みすぼらしい自分の発見に行き着くことが多いとは言え、かすかな輝やきをたたえている自分もそこにはかならずいるはずだ。その輝きを火種にこの人生を歩むのだ。 第二、実証的な研究であれ、文献研究であれ、自分を横に置いた論文はよくない。直ぐに反論があろう。実証研究であれば、事実に虚心に向かえば向かうほど自分などを出しようがないではないか、文献研究であれば文献の論旨を正しく追えば追うほど自分などを出しようがないではないかと。しかし、無限な事実の中からどんな事実が重要だと観るかに自分が現れるのだし、文献研究であればマル写しでない以上、自分の読み方が現れるのだ。その自分の現れ方、あるいは表し方が自分の個性であり、その説得力が自分の力量なのだ。そもそも自分を隠し続ける勉強などは面白くもないはずだ。勉強は打算でやるのではなくて面白いからやるのだ、ということをわかって卒業して欲しい。 第三、研究（勉強）と社会での仕事の関係。研究（勉強）は卒業でお終い、4月からは仕事という別世界だという理解は浅はかである。仕事を始めてみて本当の勉強が始まったと先輩たちは言う。実は地続きなのだ。全く二つの世界が別物であれば、いいですか、大学での勉強は無用だということになる。その気配が濃厚に漂っているのが現代日本ではあるけれど。仕事には実践が伴うが、勉強には認識という脳細胞の活動はあっても実践が伴わないという区分が先の言明の根拠になっているが、認識と実践とはさほど機械的に区分できない。「こう考える」、だからこうしてみようというように地続きになっている。 　偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。

キーワード1	企業別労働組合
キーワード2	労働運動
キーワード3	労働者の代表
キーワード4	話し合い
キーワード5