学科	教育文化学科	ゼミ教員名	奥井　遼	年度	2020年度
タイトル	教材のデザインと子どもたち 　イラストが教材の情報伝達に与える影響についての考察

内容	本稿は、教材のデザインに着目し、子どもたちの学習場面において、イラストを中心とした装飾的要素が、教材の情報伝達に影響を及ぼすのかを考察した。調査では、学習塾を舞台に、イラストの有無を操作した実験的教材を子どもたちに提示し、その選択場面の観察から得られた事例をもとに分析を行った。その結果、イラストは、子どもたちの教材に対する見方に大きく影響し、教材選択の場面で重要な判断材料として作用していることが明らかになった。またイラストは、文字情報とは別の知覚のルートで情報を伝達し、文字情報のみでは与えられない刺激を与えることによって子どもたちの動機づけを高めているとわかった。加えて、子どもが教材を選択する際に関わる要素について、装飾的要素以外の面からも検討を行ったところ、子どもたちの教材選択には、周りの友達や教師との関係も大きく影響していることが示された。

講評	教材のデザインが子どもたちの学習意欲、動機づけ、情報受容などに与える影響を論じた。自身が講師を務める学習塾にて、実験を含めたフィールドワークを行った。実験用教材も一から作成し、子どもたちとのやりとりも丹念に記録するなど、研究方法上のオリジナリティが見られる。イラストが、文字情報とは異なる知覚を刺激し、それが学習への動機を刺激しうるという発見は示唆的である。淡々とした記述の中に、教室内の雰囲気が垣間見えるところからも、優れた聴き手・書き手としての著者の資質が見てとれた。

キーワード1	教材
キーワード2	イラスト
キーワード3	情報伝達
キーワード4	動機づけ
キーワード5	集団規範