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ワーキングプアとは正規社員と同じようにフルタイムで働いても、またはその意思があっても生活保護水準以下の収入しか得ることの出来ない、年間年収が200万円に満たない労働者のことを指す。この問題が、日本で注目され始めたのは、2006年7月にNHKスペシャル「ワーキングプア」が放映されたことがきっかけであると言われている。
こういったワーキングプアは、小泉内閣が規制緩和や民営化を進めたことによって格差が広がって増えたと考えられている。そして、最大の要因は1990年以降の長い不況の中で日本の企業はコストがかかるため新しく正規社員を増やすことが出来なくなり、正規社員を減らして派遣社員や契約社員などの非正規社員の数を増やしたことにあると考えられる。
また、ワーキングプアはその人自身だけの問題ではなく、世代を越えて悪影響を与える場合がある。ワーキングプアが世襲されるということは、機会の均等が失われるという事を意味する。本論文のテーマは、こういった機会の不平等は何故起こるのかを検証することにあり、さらに、機会の不平等をなくしていくためにはどのような改善が必要となるかを議論し、今後の政策インプリケーションの抽出を試みる。
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