学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2012年度 |
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タイトル | 生産性向上運動を基点とする日本的労使関係の成立とその変化 |
内容 | 働くところに労使関係は必ず存在する。中でも日本における労使関係、いわゆる日本的労使関係には諸外国にない三つの特徴が存在する。「終身雇用制度」「年功賃金制度」「企業別組合」の三つである。なぜ日本ではこのように世界的に見ても特徴的な労使関係が成立しているのか。その疑問を解決するため、日本の労使関係の歴史に着目した。日本的労使関係の成立、変化には三つの基点があった。戦後復興期、高度経済成長期、バブル崩壊後である。戦後復興期には、荒廃した日本の再建を目指して日本的労使関係の礎が作られた。高度経済成長期に進められた生産性向上運動が日本的労使関係の成立の後押しとなった。その生産性向上運動時に掲げられた三原則により、日本の労働者と企業は一体となり、文字通りの「運命共同体」として、日本の近代化、先進国化の一端を担った。 しかし時代は移り変わり、バブル崩壊後。バブル崩壊による不景気だけでなく、それまでにも見られた国際化やIT革命による技術革新などの要因により日本的労使関係が成立した時代背景とは全くその形を変えてしまった。これからの新しい日本的労使関係は、戦後の日本的労使関係が成立した時と同様に、政・労・使の三体全体の意識改革が必要になってくる。 |
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講評 | 提出論文のタイトルは、「労働契約法の制定過程と労使関係」「職人の技能継承」「ベーシックインカムに対する期待の検討」「日本の人事制度の変遷」「フィリピンの住居政策とパシッグ・リバー・プロジェクトの現状」「奈良県と京都市における廃校利活用の実態と課題に関する研究」等々。一瞥してわかるとおりテーマは自由とした。関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるのではないかと考えたためだ。学生への事前指導として、目新しいことを書こうとせずに、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。 自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。すると、複数の学生から同じような質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかという内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。 提出された論文は、実証的なもの、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。 卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。 |
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キーワード1 | 日本的労使関係 |
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キーワード2 | 生産性向上運動 |
キーワード3 | 終身雇用制度 |
キーワード4 | 年功賃金制度 |
キーワード5 | 企業別組合 |