学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 上田 眞士 | 年度 | 2012年度 |
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タイトル | 停滞する国家スウェーデン |
内容 | 本論文では、福祉国家スウェーデンの現状に迫りたい。日本のメディアで紹介されるスウェーデンは完璧である。番組などでは「胎児から墓場まで」、「出産費用が無料」、「失業手当が所得の80%」、「年金支給額は毎年平均400万円」など、手厚い社会保障が紹介されている。しかし全世界で不景気や高齢化が問題とされている中で、このような高福祉が本当に実現出来るのだろうか。 現状は、そうではなかった。かつてはスウェーデン・モデルとして世界の模範とされるスタイルを築いたスウェーデンであったが、失業率には含まれない「隠れ失業」も含む失業者の増加や高齢人口の増大による福祉依存者の肥大化により、福祉機能が停滞していることがわかった。貧しい農業国であるスウェーデンがどのようにして高福祉高負担の実現にまで至ったのか、歴史に迫り、各分野の社会保障の詳細と高福祉の行き詰まり、そして「スウェーデン・スペシャル」(藤井 2002)を後退させている原因である福祉依存者肥大化(「隠れ失業」、「高齢化社会」)について言及したい。 |
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講評 | 提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「産業空洞化と地域経済」「家電企業の日韓比較」「若者の就職難と非正規雇用」「少子化とワークライフバランス」「貧困問題と生活保護,福祉国家」「プロスポーツ選手のセカンドキャリア」等々となっています。これらのテーマを通覧しただけで,一方での経済や経営のグローバル化の進展,他方国内での格差社会化の展開という,現代日本の雇用社会の諸相が浮かび上がってきます。たしかに,問題の掘り下げや論理的な記述の如何という点では,個々の論文ごとにバラツキもありましたが,基本的には卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。ここではゼミ生が取り組んだ卒論作業を締めくくる講評として,どういう論文が優れた論文なのか,研究に際して大事だと思われるポイントを二点ほど指摘しておきたいと思います。 一つには,政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそ,論文の命があるということです。そして,いま一つには,そのためにも本質的に批判的な研究であってほしい,そうした要望です。現代の雇用社会の住人である我々が,その雇用社会の一断面を取り上げ,現に存在するものを正面から受け止めようとするわけだから,そこでは必ず何らかの課題意識や問題意識が生まれてくるはずです。そうした現実に対して抱く緊張感を,論理的に整序して記述しようする姿勢が,論文の作成にとってはとりわけ大事だと思います。先人が述べてきたように,一方では,現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方では現実が抱え込んだ困難や矛盾を考察する「否定的」な把握も必要です。それが本質的に批判的な研究態度ということになるのだと思いますし,問題把握や理解の深さ,広さに繋がるのだと思います。超然とし過ぎだと言われるかもしれませんが,問題というものは,それがいったんしっかりと把握されたなら,社会が行動を通して,自ずと何らかの解決を見出していくことになる,そうしたものだと思います。 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の「心がけ」だと考えて欲しい,そのように思います。 |
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キーワード1 | スウェーデン |
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キーワード2 | 高福祉高負担 |
キーワード3 | 福祉機能停滞 |
キーワード4 | 福祉依存者 |
キーワード5 |