学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2013年度 |
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タイトル | 「サラリーマン社会」が抱える問題 |
内容 | 就業者の約88%を雇用者が占める「サラリーマン社会」、日本。資本主義社会の下、「使用者」と「使用者に雇われて働く労働者」は、互いの利害が基本的対立を成す存在であり、その間では長期にわたり数多くの労働問題が発生している。売り控え可能な生産手段を私有する使用者に対し、売買のコントロールが難しい労働力の提供によって生活を営む労働者。このことによって必然的に劣位の地位に追い込まれる彼らの生存権を保障すべく憲法によって規定されたのが、労働三権だ。それは、彼らを管理する雇用制度が、労使間の直接交渉によって納得性の高い状態で取り決められることを目的としている。労働条件の決定はもとより、ルール設定や政策実現機能を担う法律を、労使交渉によって個々の企業に合った独自のものに修正していくことによって成立することを前提として考えられていることを、はじめに理解すべきである。しかし憲法によって労働三権が保障されている中でも、労使交渉は活発に行われていないのが現状だ。そこには、労働組合の弱体化をはじめとする、数多くの問題が原因として潜んでいることをきちんと認識する必要がある。 |
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講評 | 提出された論文のタイトルは、「日本における『成果主義』の再考察」「ブラック企業の定義とその実態-労働者にとっての良き企業とは」「心理的契約から見る労働契約」「サラリーマンが抱える問題」「高等学校におけるキャリア教育はなぜ根づかないのか」「日本における外国人労働者の現状と課題」等々。関心のある内容なら全力で取り組むことができるのではないかと考えてテーマは自由としたが、概ね労働領域のものであった。 事前の指導として、独自の見解や解決策を書く必要はなく、自分が選んだテーマについて考え抜いたことを書くように勧めた。自分の考えを書くといっても、まずは先行研究を読んで、議論の枠組みや主要な論点を把握しなければならない。また、論文の作法として、他者と自己との見解を峻別しなければならない。ここで多くの学生が戸惑うのは、先行研究の中ですでに殆どすべてのことが書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのかということだ。 答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。この作業そこが分析であり、その結果が「読み手の考え」に他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。 また、社会問題をテーマとした論文では解決策や提案を書かなければならないと思ってしまいがちだが、決してそうではない。とくに雇用領域における問題(長時間労働や正規・非正規雇用の格差など)は、「第一線の実務家の努力をもってしてもなお解決できていない」ということであり、それを分かることが何よりも大切である。卒業論文の執筆を通して上記のことに気づいたとすれば、それは大きな収穫である。 提出された論文は、思索的なもの、地道な努力が光るもの、苦悶の跡が窺われるものなど多彩であったが、いずれもそこには「現在の自分」が現れている。確かに、考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど荒削りな面はある。しかし、筆者の思いが切々と綴られた部分は、自ずと読む者を惹きつける。それは自分自身との対話の深さによるものだろう。卒業論文の自分を起点として、社会人として新たなスタートを切ってもらいたい。 |
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キーワード1 | 資本主義社会 |
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キーワード2 | 労働問題 |
キーワード3 | 労働三権 |
キーワード4 | 労使交渉 |
キーワード5 |