学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 上田 眞士 | 年度 | 2013年度 |
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タイトル | 男性の育児休業取得向上に向けて |
内容 | これまでの日本の風土では、男性は外へ出て仕事をし、女性は家庭に入って役割を果たすというものであった。しかし、最近では、女性の社会進出に伴い、仕事と家庭の両立が求められるようになってきている。男性の家庭を持った際には、社会に進出して、育児休業を取得して、少しでも家のことを手伝わなければならない時代が来ている。そして、男性も育児休業を取得したいと言う思いがとても強いのは事実である。しかし、育児休業を取得している男性は、極僅かである。それは、意識の面、働きの面、制度の運用の面で課題がそれぞれに存在するからである。その問題を解決していくために、今の日本の育児法に適合させる必要があると考え、短期の育児休業の取得を容易にする制度を設計していかなければならないと考える。そして、職場の雰囲気つまり根本である職場の風土をより良い形に作り変えなければ、どれほど良い制度が構築されても効果を生みださないと言うことがわかった。職場の風土を改善するのには、時間を要するかもしれないが、これからのそれぞれの企業での課題になるであろう。 |
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講評 | 提出された卒論テーマを分野別に列挙してみると,「日本の家電産業復活の鍵」「日系企業の海外進出と現地化」「ブラック企業・名ばかり管理職・新卒採用問題」「女性雇用と育休問題」「マネジメント・リーダーシップ」等々となっています。これらのテーマに表出しているものは,一方での経済や経営のグローバル化の進展,また他方では国内での種々の労働問題の発生という,現代日本の雇用社会が展開しているダイナミズム,そこでの当事者たちの苦闘に他なりません。たしかに個々の論文ごとに,問題の掘り下げや論理的な記述という点では精粗もありました。しかし基本的には,卒論作成という課題に対して,困難な就職活動の中でもゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた,そのように考えています。そこで,ここでは一年を通した卒論作業を締めくくる講評として,研究や考察に際して私が大事だと思うポイントを,簡単に指摘しておきたいと思います。 大切なことは,論文の良し悪しの重点は政策提言の出来映えにではなく,問題把握や理解の深さ,広さにこそあるのだということです。そして,そのためにも本質的に批判的な研究や考察態度を持って欲しい,そうした要望です。それは決して簡単なことではありませんが,これまで先人が強調してきたように,一方では現にあるものをその存在の根拠から「肯定的」に理解すると同時に,他方ではその抱え込まざるをえなかった困難や矛盾から現実を「否定的」に理解する,そうした現実への接近態度のことなのだと思います。少しかみ砕き過ぎかもしれませんが,ただ単に日本的雇用の非を鳴らすだけではつまらない,なぜ現実はそうたらざるをえないのか,そこにまで問題把握を広め深めて欲しい,あるいは,ただ単に日本的経営を称賛するだけではつまらない,それが自らの体内に抱え込んだ病理にまで洞察の目を向けて欲しい,そういうことになるでしょう。要するに,現実は必ず緊張や葛藤を孕んでいます。その緊張や葛藤にこそ,考察の焦点があるのだということです。将来への展望(≠「政策提言」)も,実はそうした緊張や葛藤に目を凝らしてこそ,はじめて見えて来るはずのものだと思います。 とはいえ,「言うは易く行うは難し」,これも先人の残した金言です。卒論の評価基準というよりは,論文を執筆する際の心がけだと考えて欲しい,そのように思います。 <以上> |
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キーワード1 | 両立 |
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キーワード2 | 制度 |
キーワード3 | 職場の風土 |
キーワード4 | 取得率 |
キーワード5 |