学科	産業関係学科	ゼミ教員名	石田　光男	年度	2014年度
タイトル	シンガポールの工業化の形成過程と発展

内容

シンガポールは、現在アジアの金融センターとして有名であり、世界でも競争力の強い国として知られている。しかし、同時に小さい島国でありながら工業の分 野でも非常に強い競争力を持ち、世界にその製品を輸出し続けている。特に石油化学産業やエレクトロニクス産業は、世界でも有数の製品輸出国である。1965年のシンガポール独立後、失業率に悩まされていた政府は輸出志向型工業政策を採り国際資本を受け入れることやいわゆる開発独裁体制を採った。政府は多国籍企業にとって魅力的な条件を提示し続け投資を呼び込むと同時に、自国の労働者や組合を統制することで工業化を推進させた。また、シンガポールの発展にリークアンユーという存在は欠かせない。彼の考え方や思想はシンガポールに多大な影響を与えており、本稿でも論じた。シンガポールは工業化に成功し、国としても素晴らしい発展を遂げたが、いかにしてその経済発展がなされたのか、どのような問題が存在するのかを論じる。

講評

卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 そこからが君たちの出発である。 いくつかのコメントをしたい。 第一、参考文献からの引用は丁寧にということを強調した。私は正直な論文が好きだ。だから他者からの引用と自分自身の言葉とを仕分けする作業は正直な自分になる作業である。その結果、みすぼらしい自分の発見に行き着くことが多いとは言え、かすかな輝やきをたたえている自分もそこにはかならずいるはずだ。その輝きを火種にこの人生を歩むのだ。 第二、実証的な研究であれ、文献研究であれ、自分を横に置いた論文はよくない。直ぐに反論があろう。実証研究であれば、事実に虚心に向かえば向かうほど自分などを出しようがないではないか、文献研究であれば文献の論旨を正しく追えば追うほど自分などを出しようがないではないかと。しかし、無限な事実の中からどんな事実が重要だと観るかに自分が現れるのだし、文献研究であればマル写しでない以上、自分の読み方が現れるのだ。その自分の現れ方、あるいは表し方が自分の個性であり、その説得力が自分の力量なのだ。そもそも自分を隠し続ける勉強などは面白くもないはずだ。勉強は打算でやるのではなくて面白いからやるのだ、ということをわかって卒業して欲しい。 第三、研究（勉強）と社会での仕事の関係。研究（勉強）は卒業でお終い、4月からは仕事という別世界だという理解は浅はかである。仕事を始めてみて本当の勉強が始まったと先輩たちは言う。実は地続きなのだ。全く二つの世界が別物であれば、いいですか、大学での勉強は無用だということになる。その気配が濃厚に漂っているのが現代日本ではあるけれど。仕事には実践が伴うが、勉強には認識という脳細胞の活動はあっても実践が伴わないという区分が先の言明の根拠になっているが、認識と実践とはさほど機械的に区分できない。「こう考える」、だからこうしてみようというように地続きになっている。 　偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。

キーワード1	シンガポール
キーワード2	開発独裁
キーワード3	リークアンユー
キーワード4
キーワード5