学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2014年度 |
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タイトル | 「労働法における男女平等の現状と課題」 |
内容 | 働く女性が増える中、女性が働きやすい環境を整えるべくさまざまな制度がつくられている。しかし、制度が整っていても運用がなかなかされていないのが現状である。このような問題意識の下、本論文では、男女平等は法的にどこまで認められているのか、認められているならばどのように救済されているのかという現状を明らかにすることで、雇用・労働の分野における男女平等の実現について考えた。具体的には、男女平等を論じる際に不可欠となる公序について論じ、どのようにして法的に男女平等が認められているのかを明らかにするために、採用、賃金、定年・退職と裁判例を大きく3つに分類し、裁判例の整理を行った。 その結果、採用に関しては、企業の採用の自由があるため、採用の時点で法的に規制することは難しく、男女平等が実現されているとは言い難い。賃金については、男女平等が実現されているとは言い難いが、賃金について男女差別がなされた場合の救済が概ね整っているという点では評価できる。昇進・昇格については、昇格請求権が認容された事案は1件のみで、使用者側に広範な裁量判断が認められている人事権であることを理由に昇進・昇格請求が否定されることが多く、男女平等が実現されているとは言い難い。定年・退職に関しては、違法な制度が無効になることにより、定年・退職がなくなり、地位が確定されるため、概ね男女平等が実現されていると評価できる。 雇用・労働の領域における男女平等については、労基法や2012年改正均等法などの労働法には、差別がなされた場合の是正の基準となる規定がなく、法的根拠がなお確立されていない。より具体的で積極的な、将来に向かって差別を是正する救済方法が考案されなければならないと考える。 |
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講評 | 提出された論文のタイトルは、「働くということ」「日本の人事制度変遷」「労働法における男女平等の現状と課題」、 「プロ野球選手の労働者性」「障害者に対する施策の矛盾」、「ホワイトカラー・エグゼンプション導入に関する考察」「カンボジアPKOと現在」等々多彩であった。卒業論文は自分自身と向き合う作業にほかならないので、関心のあるテーマならば全力で取り組むことができるだろうと考えてテーマは自由とした。 卒業論文の作成にあたって、①オリジナルな分析や見解あるいは政策提言を書く必要はなく、②先行文献を丹念に読み込んで、③それらの見解を論文の形式に沿って整理するように指導した。①でオリジナルな見解や分析を求めないのは、それを気にするあまりに何も書けなくなるからである。卒業論文では、既知の分析結果や見解を自らの判断によって再整理して体系づけることに意味がある。その整理の在り様が各自の考えとなる。 大切なことは、すでに知っている事実や分かっている見解であっても、その事実や見解は過去に本やウェブ等を通じて得られた知見であり、自分自身のオリジナルな発見や指摘ではないことを自覚することである。それがいつどこで誰によって最初に発見・指摘されたかを明らかにするために出典を明らかにしなければならない。この点に気を付けて文献を整理すれば、基本的に「論文」の形式になる。 ここまで説明すると、複数の学生からつぎの質問が寄せられる。先行研究の中ですでに書かれてしまっているので、この上「自分の考え」として何を書けばよいのか、いや何も書けない、という内容だ。答えは明瞭である。先行研究の記述をどのように理解し評価したかを書けばよい。これらの作業そこが分析であり、読み手の考えに他ならない。文献研究が単なるコピー&ペーストとならない所以である。 今回提出された各論文は、概ね上記の点について一定基準を上回っている。考察が不十分なところや論理展開がやや強引なところなど、荒削りな面はある。しかし、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。それらは自分自身との対話の深さによるものであり、それが自ずと読む者を惹きつける。 |
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キーワード1 | 労働法 |
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キーワード2 | 男女平等 |
キーワード3 | 民法90条 |
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