内容 |
近年、子どもをもつ女性の就業率はますます上昇しており、育児をしながら働く女性が増えている。その一方で、女性の社会進出が進む中、未だに性別役割分業意識はなくなっていない。なぜ、働く女性は増加する一方で、母親の就労を否定的に考え、性別役割分業を肯定する意見は減らないのだろうか。そこには様々な要因があると思うが、その一つに母親の就労が子どもの発達に悪影響を与えるかもしれない、という不安があるのではないかと筆者は考えた。そこで、筆者は本論文で、母親の就業は子どもの発達に悪い影響を与えるのか、またもし与えるとしたら、それはどのような影響なのかを明らかにした。東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センターのリモート集計システムを使い、「高校生と母親調査」(2012)のデータを用いて二次分析を行った。その結果、母親が就労しているほど子どもの学力は下がり、母親が家にいるほど子どもの学力が上がることが分かった。また、その結果を受け、直接的な関係だけでなく間接的な影響を三重クロス集計を用いて探ったところ、母親が家にいるほど本の数も増え、子どもはその本に触れて学力が上がる、ということも分かった。 |