内容 |
本論文では日本小売物流業システムがどのような変化を遂げてきたのかについて明らかにした。第一章では今日のグローバル化による国際物流の必要性、および物流業システムの変化についての問題意識を提示した。第二章では物流業とは何を示すのかを述べ、社会における役割や、近年の物流業の特徴などを述べた。第三章では日本小売物流業とアメリカ小売物流業の比較を行った。日本小売物流業がデマンドチェーン思想、アメリカ小売物流業がサプライチェーン思想に基づいていることを明らかにしている。第四章では日本小売物流システムが時代を追うにつれてどのように変化していったのかを、経済的要因、グローバル化、IT技術の発展の3つの観点から述べた。高度経済成長により市場が飽和し消費が多様化することでデマンドチェーン思想へと変化することを明らかにしている。また現代ではIT企業の発展やグローバル化からデマンドチェーン思想でもサプライチェーン思想のどちらでもない物流システムが生まれているのではないかと述べている。また今後のオムニチャネルのような新たな物流システムへの期待も示唆している。第五章の考察では、本論文で明らかにしたかった日本小売物流システムの変容の結論、すなわち日本小売物流システムは、戦後経済成長をする上で、サプライチェーン思想を取り入れ、90年代以降、市場が成熟したことによって、デマンドチェーン思想へと形を変えたことを述べた。 |