学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2015年度 |
---|---|---|---|---|---|
タイトル | スポーツ選手は労働者か否か ―プロ野球選手を主に― |
内容 | スポーツ選手の中でも、団体に所属するものと、団体に所属せずに個人で賞金を稼ぐスポーツ選手の2種類に分けることができると考え、主に、団体に所属し、労使関係の生まれる、労働者性の可能性が高い、プロスポーツ選手の労働者性を、考査していく。2章では、労働基準法、労働組合法の観点から見た、労働者性について、重要な判断基準として、学説では、労基法における労働者に該当するか否かについて、左右されることはなく、対象者が、使用者の命令や管理に対して、服しているか否かという人的従属性があるか否かが重要であるという事を述べている。 3章では、主に賃金、契約方式について言及し、専門性の高い工場労働者に代表される、一般労働者との比較を行い、スポーツ選手の労働者性について結論を出している。 続く4章では、独占禁止法の観点から、スポーツ選手の労働者性を判断している。5章では、近鉄・オリックスでのストライキの判例に基づき、労働者性を述べた上で、6章で、自分の中で、スポーツ選手は労働者か否かという結論を出していく。 |
---|
講評 | 卒業論文の執筆にあたっての指導ポイントはつぎの2点である。 第1は主要な先行文献を選んで精読するである。オリジナルな見解にこだわって書こうとすると何も書けなくなる。それよりも文献を丹念に読むことで、問題関心から結論に至るまでの筆者の思考の道筋を辿ってもらいたい。断片的な知識の習得にとどまらず、「分かる」という認識水準を体感し、分かるためにはどのように考えなければならないかを経験してもらいたかった。その意味で文献の選択が重要になる。 第2は、先行研究の諸見解を自分が組み立てた枠組に沿って論文の形式で書くことである。この点については主として表題設定と出典の明記に重点を置いた。論旨が曖昧になって書き進められなくなる事態を回避するために、テーマ設定時にできるだけ論点を絞った表題を考えるように助言した。また、自らの考えの大部分が先行研究の成果であることを自覚し、これらの先行研究に敬意を払う意味でも出典の明記は不可欠である。この点に気を付けて文献を整理すれば基本的に論文の形式になる。 提出された12本の論文は上記の点について概ね一定の水準を上回っている。論理展開がやや強引な点など荒削りな面はあるものの、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。論文執筆は文献を介した自分自身との対話に他ならない。論文の質はその対話の深さに比例しているといえるだろう。卒業論文執筆での精神作業が人生の一助となること願っている。 |
---|
キーワード1 | 労働者性 |
---|---|
キーワード2 | 労働基準法 |
キーワード3 | 契約方式 |
キーワード4 | 独占禁止法 |
キーワード5 | プロ野球 |