学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2015年度 |
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タイトル | 日本の職場いじめ―パワーハラスメントについて― |
内容 | 今日の日本の労働市場には、職場いじめや様々なパワーハラスメントが横行している。職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的且つ、身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう。職場いじめなどによる労働環境悪化が、被害者の精神状態に深刻な影響を与える。そしてパワハラは、働く人たちの能力発揮を妨げるばかりでなく、企業の社会的評価を著しく低下させることにもなりかねない労務管理上の問題でもあるということである。パワハラ発生の背景には、経営環境・職場環境の変化、従業員側の変化など、労働環境の変化がある。日本の労働環境では、求められる働き方の急激な変化の中で、「集団主義から個人主義」「年功序列から成果主義」と言った新旧の価値観の交錯が職場に戸惑いをもたらし、混乱を与え始めているという。その混乱によって、労働環境のモラル低下が引き起こっている。そのモラル低下が、職場のパワハラを誘発するという悪循環を引き起こしていた。それらの問題の、根本には職場での「コミュニケーション不足」があった。 |
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講評 | 卒業論文の執筆にあたっての指導ポイントはつぎの2点である。 第1は主要な先行文献を選んで精読するである。オリジナルな見解にこだわって書こうとすると何も書けなくなる。それよりも文献を丹念に読むことで、問題関心から結論に至るまでの筆者の思考の道筋を辿ってもらいたい。断片的な知識の習得にとどまらず、「分かる」という認識水準を体感し、分かるためにはどのように考えなければならないかを経験してもらいたかった。その意味で文献の選択が重要になる。 第2は、先行研究の諸見解を自分が組み立てた枠組に沿って論文の形式で書くことである。この点については主として表題設定と出典の明記に重点を置いた。論旨が曖昧になって書き進められなくなる事態を回避するために、テーマ設定時にできるだけ論点を絞った表題を考えるように助言した。また、自らの考えの大部分が先行研究の成果であることを自覚し、これらの先行研究に敬意を払う意味でも出典の明記は不可欠である。この点に気を付けて文献を整理すれば基本的に論文の形式になる。 提出された12本の論文は上記の点について概ね一定の水準を上回っている。論理展開がやや強引な点など荒削りな面はあるものの、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。論文執筆は文献を介した自分自身との対話に他ならない。論文の質はその対話の深さに比例しているといえるだろう。卒業論文執筆での精神作業が人生の一助となること願っている。 |
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キーワード1 | 職場のパワーハラスメント |
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キーワード2 | モラル低下 |
キーワード3 | コミュニケーション |
キーワード4 | |
キーワード5 |