卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名寺井 基博 年度2015年度
タイトル「男女共同参画社会」の今 ―「育児休業制度」に着目して―
内容 本論文は、日本での「男女共同参画社会」について研究したものである。近年、「女性の活躍推進」という言葉をよく耳にするが、変わるべきだと推進される対象は女性だけであるのだろうか、男性は今のままでよいのだろうか。男性も女性も当たり前に「仕事」にも「家庭」にもかかわっていくべきだと考え、「男女共同参画社会」について研究を行った。高度経済成長期が終わり、「少子高齢化」や「労働力不足」といった問題を抱える日本は、「男は仕事、女は家庭」という高度経済成長期に作られた「男性稼ぎ主型」の働き方から、「男も女も、仕事と家庭」という現在の社会に対応した「両立支援型」の働き方に変わる必要がある。育児休業というキーワードをもとに、「育児休業取得後の復職の難しさ」「男性の育児休業取得」という観点から論文を進め、「学校」という女性の活躍が進んでいる職場で働く数名の方へのインタビューをもとに、「両立支援型」の達成にむけた分析を行った。
講評 卒業論文の執筆にあたっての指導ポイントはつぎの2点である。
第1は主要な先行文献を選んで精読するである。オリジナルな見解にこだわって書こうとすると何も書けなくなる。それよりも文献を丹念に読むことで、問題関心から結論に至るまでの筆者の思考の道筋を辿ってもらいたい。断片的な知識の習得にとどまらず、「分かる」という認識水準を体感し、分かるためにはどのように考えなければならないかを経験してもらいたかった。その意味で文献の選択が重要になる。
第2は、先行研究の諸見解を自分が組み立てた枠組に沿って論文の形式で書くことである。この点については主として表題設定と出典の明記に重点を置いた。論旨が曖昧になって書き進められなくなる事態を回避するために、テーマ設定時にできるだけ論点を絞った表題を考えるように助言した。また、自らの考えの大部分が先行研究の成果であることを自覚し、これらの先行研究に敬意を払う意味でも出典の明記は不可欠である。この点に気を付けて文献を整理すれば基本的に論文の形式になる。
提出された12本の論文は上記の点について概ね一定の水準を上回っている。論理展開がやや強引な点など荒削りな面はあるものの、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。論文執筆は文献を介した自分自身との対話に他ならない。論文の質はその対話の深さに比例しているといえるだろう。卒業論文執筆での精神作業が人生の一助となること願っている。
キーワード1 男女共同参画社会
キーワード2 育児休業
キーワード3 両立支援型
キーワード4 学校
キーワード5