学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2015年度 |
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タイトル | 子ども時代の貧困と世代間連鎖 |
内容 | 戦後、高度経済成長を経て経済的に豊かとなった現代の日本では、「貧困」は縁遠いもののように感じられる。「貧しさ」を感じることはあっても、私たちの暮らしが「貧困」であるとは意識しにくい。しかし、日本でもグローバル化の影響で競争はさらに激しくなり、国内の経済格差はますます広がっている。OECDが発表した「相対的貧困率の国際比較」から、先進諸国の中で、日本の貧困率はアメリカに次いで高いことがわかった。そして、親の収入に依存せざるを得ない子どもも例外ではない。貧しい家庭で育つ子どもが、そうでない子どもと比べて、教育を受けたり、家庭生活をおくる上で「不利」な状況に立たされることが多いのである。さらにその「不利」は子ども時代だけにとどまらず、その子どもの一生についてまわったり、次世代へと連鎖する可能性さえはらんでいるのである。どのような子どもも同じような家庭で育ち、全く同じ教育を受け、全く同じ条件で競争に向かうといった、完全な「機会の平等」というのは、現代の日本において不可能である。しかし、格差を縮小する努力をすることが社会として望ましいのではないか。そして、貧困の連鎖を食い止めるには、今以上に教育の「機会の均等」を目指すことが大切なのではないかと考える。 |
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講評 | 卒業論文の執筆にあたっての指導ポイントはつぎの2点である。 第1は主要な先行文献を選んで精読するである。オリジナルな見解にこだわって書こうとすると何も書けなくなる。それよりも文献を丹念に読むことで、問題関心から結論に至るまでの筆者の思考の道筋を辿ってもらいたい。断片的な知識の習得にとどまらず、「分かる」という認識水準を体感し、分かるためにはどのように考えなければならないかを経験してもらいたかった。その意味で文献の選択が重要になる。 第2は、先行研究の諸見解を自分が組み立てた枠組に沿って論文の形式で書くことである。この点については主として表題設定と出典の明記に重点を置いた。論旨が曖昧になって書き進められなくなる事態を回避するために、テーマ設定時にできるだけ論点を絞った表題を考えるように助言した。また、自らの考えの大部分が先行研究の成果であることを自覚し、これらの先行研究に敬意を払う意味でも出典の明記は不可欠である。この点に気を付けて文献を整理すれば基本的に論文の形式になる。 提出された12本の論文は上記の点について概ね一定の水準を上回っている。論理展開がやや強引な点など荒削りな面はあるものの、地道な努力が実を結んだ論文や先行文献の整理を踏まえて筆者の思いが切々と綴られた論文が複数見られた。論文執筆は文献を介した自分自身との対話に他ならない。論文の質はその対話の深さに比例しているといえるだろう。卒業論文執筆での精神作業が人生の一助となること願っている。 |
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キーワード1 | 相対的貧困 |
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キーワード2 | 学歴 |
キーワード3 | 格差 |
キーワード4 | 機会の均等 |
キーワード5 |