学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 冨田 安信 | 年度 | 2016年度 |
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タイトル | 介護離職とはなにか ~介護者、企業、社会の三つの視点から考える~ |
内容 | 「介護離職」、それは身の回りの人や大切な人が要介護者となり、その介護をする介護者が自らの仕事を、介護と仕事の両立が難しいために離職してしまうことである。この介護離職者は約10万人いると推定されている。介護離職者は高齢の親を抱えた主に40歳代から50歳代が多い。特に男性も多く含まれ、企業組織の中で基幹的役割を果たしている者が多いとされる。企業にとって、彼らの離職は大きなダメージとなり、生産性低下につながってしまう。また、介護離職をした本人は、それまでの生活と一変し、介護に注力する時間が多くなる。それは肉体的にも精神的にも負担がかかる。介護離職者のほとんどの者は、本当は仕事を続けたかったが、要介護者の状態や職場の介護に対する両立支援がうまく活用できなかった、もしくは両立支援がなかった為に離職してしまっている。離職者本人にも企業にもダメージを与える「介護離職」。それを介護者、企業、社会の視点から考える。 |
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講評 | 毎年、ゼミ生の卒業論文のタイトルから、今の雇用問題が読み取れる。今年度のキーワードは、女性労働、非正規雇用・格差社会、高付加価値人材である。そして、さまざまな雇用問題を解決する条件として、雇用の流動化が必要であるという主張が目立ったのが今年度の特徴である。 女性の活躍を取り上げた「男女平等の職場へ」は、女性が管理職として活躍するためには男女の意識改革が必要であることを、そして、「女性の社会進出」は、仕事と育児の両立のためには多様な働き方を認めることが必要であることを訴えた。また、「長時間労働を是正するためには」は、男性の育児参加が、長時間労働の是正、女性の社会進出、そして、出生率上昇の決め手であると論じている。また、介護と仕事の両立もこれから深刻化してくると思われる。「介護離職とはなにか」は、まず、企業が従業員に介護と仕事の両立についての情報を提供し、理解を深めることが重要であると言う。長時間労働の是正も毎年取り上げられるテーマであり、「働き過ぎの日本人」では、その解決策として管理職が部下に満点ではなく及第点の成果を求めることを提案している。 正規雇用者と非正規雇用者の格差是正を取り上げた「日本の非正規労働者の現状と問題点」と「日本における非正規雇用改革に向けて」は、ともに非正規雇用者に職業訓練の機会を提供することが格差是正につながることを指摘している。貧困や格差社会も大きな雇用問題である。「進む貧困化」は、生活保護の捕捉率が低いことを考えると、年金や失業手当など他の社会保障制度を充実させることが必要であるとし、「進学格差の是正による子ども貧困の世代間連鎖について」は、低所得の家庭の子どもも大学に進学できるようにするためには、卒業後の収入によって返済額が決まる奨学金制度が有効であると言う。発展途上国の貧困を取り上げたのが「児童労働問題の実態」であり、ラべリング活動などその撲滅に向けた取り組みを紹介している。貧困と幸福度は関連しそうであるが、「日本における労働問題と幸福感について」は、デンマークを例に社会保障制度が充実することで国民が安心感をもち幸福度が高まることを見出した。 企業の雇用管理制度をテーマにした卒業論文は、どこかで高付加価値を生み出す人材の議論とつながっている。「日本の外国人雇用の実態」は、外国人の高度人材を積極的に受け入れることの重要性を、「ホワイトカラーエグゼンプションと雇用流動化」は、高付加価値を生み出す専門職の重要性を指摘している。また、「変わり者のマネジメント」は、ダイバーシティにつながる異質な人材が活躍する職場づくりを、「仕事で磨く人格と組織論」は、会社を正しい方向に導いていく経営者の心がまえを議論している。企業の雇用管理というより経営戦略にかかわるテーマであるが、「プロ野球における集客ビジネス」は、どのようにして顧客を獲得して定着させるか、そして、「生命保険会社の株式会社化」も、組織形態とどうするかという、どの企業にもかかわる重要なテーマを取り上げている。 全体の講評としては、女性労働や非正規雇用など、すでにかなり議論されているテーマは、自分なりの視点がないと印象の薄い論文になってしまう。そして、筋が通った議論ができているかどうかが論文を書く上で重要であることを再認識してもらいたい。 |
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キーワード1 | 介護離職 |
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キーワード2 | 介護者 |
キーワード3 | 両立支援 |
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