学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 阿形 健司 | 年度 | 2016年度 |
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タイトル | きょうだい構成と結婚年齢の関係性 |
内容 | 近年、日本では少子化の要因として未婚化・晩婚化が問題視されている。未婚化・晩婚化の要因は共通しており、大学進学率の上昇、独身者の意識変化など様々な要因が考えられるが、これらの要因については多くの研究がなされている。筆者は、結婚年齢の決定にきょうだい構成が影響を与えているのではないかと考えた。そこで筆者は、先行研究を基に「一人っ子やきょうだい数が少ないことが晩婚につながるのではないか、またはきょうだい構成によって結婚の順番待ちが起こり晩婚になるのではないか」と仮説を立て、検証を行った。「2005年SSM日本調査」(2005)のデータを用い、平均結婚年齢の算出とt検定を行った。その結果、きょうだいの有無が晩婚化に影響していることが分かった。また、その結果を受けてきょうだい数と先に結婚することが想定されるきょうだいの存在が平均結婚年齢に影響するのかについて分散分析を行った。その結果、きょうだい数や構成は結婚年齢に影響しないことが分かった。分析結果を受けて、きょうだいの有無が晩婚化につながり、一人っ子がきょうだい有りの場合より結婚年齢が高くなっている一つの要因として「パラサイト・シングル」があることを指摘した。 |
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講評 | 2016年度の卒業論文について特筆すべきことは、一次資料を利用した人が多かったことと、採用した分析手法が多様であったことである。たいていの人が文献情報のみに基づいて卒論を書こうとするのに対して、ゼミ生16人のうち9人が何らかの形で聞き取り調査を行ったのは、おそらくゼミ始まって以来の実施率である。およそ16年間の学校教育の集大成として卒業論文という作品があるとすれば、著者固有の独自資料を手がかりに作品製作に携わったことは大いに評価できる。また、昨年度につづき、既存統計資料の二次分析に果敢に挑戦した人が現れたことも大いに評価したい。 とはいえ、一次資料を使って書いた卒論が全て論文として満足のいく水準に達しているかというと必ずしもそうとは言いきれない。長い時間をかけて質問項目を吟味し、念入りに調査設計を行った上で実施した調査と、準備不足のまま見切り発車で実施した調査とでは自ずと結果の品質が異なってこよう。せっかく調査をするのだから、事前の準備をしっかりと行い、悔いのない形で調査を実施できればよかったのにと、少し残念に思うところがある。 16人のうち7人は、文献情報に基づいて卒論を書いた。歴史研究、国際比較、将来予測、政策提言などテーマは多岐にわたっている。こちらも、丹念に証拠を集めて説得的に持論を展開したものから、主観的な願望が先行して根拠があいまいなまま自説を展開したものまで水準はさまざまである。結局のところ、一次資料を使おうが、文献二次資料を使おうが、どれだけ卒論執筆に真摯に向き合ったかということが作品の出来映えに表れている。執筆者各自は、自分の胸に手を当てて大いに反省してほしい。 これから卒論を書こうとする下級生にひとつアドバイスをするなら、学校教育の集大成たる卒論の執筆がうまくいくかどうかの半分ぐらいは、テーマ選択に依存していることを肝に銘じてほしいということだ。テーマ選択を誤るとどんなにがんばってもよい論文は書けない。それほどテーマ選択には時間をかける必要があるということである。もちろん、テーマを選ぶためには関連する先行研究を探索して吟味し、検討することが欠かせない。結局のところ、ちゃんと勉強すればよい論文が書けるけれども、勉強しないと満足のいく成果は得られないという、極めてありきたりな結論に至る。 |
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キーワード1 | 未婚化・晩婚化 |
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キーワード2 | きょうだい |
キーワード3 | 結婚 |
キーワード4 | パラサイト・シングル |
キーワード5 |