卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名兒島 明 年度2023年度
タイトル被養育者としての経験が、養育者としての行動に与える影響について
内容 本論文の目的は、被養育者としての経験が養育者としての行動にどのような影響を与えるかについて考察することだ。そのためにまず、被養育者と養育者の関係性について先行研究を基に紹介し、データを基に社会的背景や時代背景も調査する。その後は、三世代にかけてインタビューを実施し、具体的な経験についてうかがった。その際、母親になった際にこれまで受けてきた経験がどう影響するのかを特に知りたいため、インタビュー対象者を女性とした。得られた知見は以下の二点に整理できる。第一に、被養育者としての経験は養育者としての行動に影響するが、それには受け継ぐ場合と受け継がない場合があるということ。第二に、受け継ぐ場合と受け継がない場合については、単純に被養育者として受けた際の心情にも起因されるが、養育者となった際に生じる母親自身の心情の変化に加え、海外移住などにより新しい文化に触れたことや日本社会における女性の地位の変化など、母子を取り巻く環境の変化にも起因されるということだ。
講評 親の教育観や教育期待が子どもの教育達成や地位達成に及ぼす影響に関する研究には多大な蓄積がありますが、親の教育観自体が、子どもが成人して自ら子育てを行う際に拠り所とする教育観として、どのように継承されるのかに関する実証的な研究はさほど多いとは言えません。ましてや、親自身がその親からどのような教育観を継承してきたのかにまで目配りをした研究となるとさらに少ないでしょう。本論文は、祖母・母・娘の三世代にわたる教育観の継承に焦点を絞り、三つの家族を対象に三世代全員、合計9名へのインタビュー調査をもとに継承の諸相とその背景の理解を試みたものです。分析にはさらなる深化を期待したいところですが、得がたい貴重な記録であることは間違いありません。
キーワード1 「育てる―育てられる」
キーワード2 社会における女性の地位
キーワード3 環境の変化
キーワード4
キーワード5