学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 樋口 純平 | 年度 | 2017年度 |
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タイトル | 雇用流動化は日本の経済・社会を豊かにするのか |
内容 | 本論文では、「雇用流動化は日本の経済・生活を豊かにするのか」という問いから、従来の日本的雇用慣行を維持していこうという「雇用定着化論」と、雇用慣行を変えて企業間移動を増やそうという「雇用流動化推進派論」を比較整理し、流動化による日本経済・労働市場に起こりうる変化をまとめた。 日本的雇用慣行の長期保障は、労働者の技術形成に適したシステムであり、戦後の経済発展に大きな役割を果たした。雇用流動化推進派論は、このような日本的雇用慣行の持つ技術形成力を評価している。しかし、少子高齢化による労働力不足や、女性の社会進出等による非正規社員比率の高まりによる雇用ポートフォリオの変化に伴い、マクロ的に雇用流動化が必要だと考える。 日本の労働市場を流動化した場合、スウェーデンの積極的労働市場政策のように移動に伴うセーフティーネットが整備されれば、日本に混乱が起こることはない。そのため、日本の強みであるブルーカラーの技術形成力は従来の長期保障で維持し、ホワイトカラーに対しては常に流動化させるのではなく、企業成長に伴う移動を行うことで日本の経済・生活を豊かにすると考える。 |
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講評 | 卒業論文の作成にあたっては、自分が関心を持ったテーマについて、いろいろと本を読んでみてよかった、多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった、と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く、という気持ちが大切と思う。 とはいえ、単なる自己満足に終わってもよくない。自分の設定したテーマについて、先行研究は何を語っているか、現状はどうなっているのか、を知る必要がある。すると、通常は、よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも、卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは、たいへんむずかしい。それでも、先行研究を追いかけながら、自分なりに納得のゆくストーリーを展開することはできる。また、少数でもよく選んだ文献と格闘することで、意義のある考察をすることもできる。 本年度の樋口ゼミ生の卒業論文は、どうであったか。テーマ設定としては、私の専門分野である国際人事について論じたもの、昨今の働き方改革について論じたもの、ワークライフバランスや女性活躍について論じたもの、ベンチャー企業について論じたもの、いずれも紆余曲折はあったが、自分の問題関心を定めて取り組むことはできたのではないか。とりあえず、提出予定者が全員、無事に提出できたことにほっとしている。一方、多くの卒論について、もう少し早くスタートすれば、もう少し時間をかけて取り組めば、という感が残ることは否めない。就職活動や単位取得がきわめて順調であったことを考えれば、相当の余力があったはずである。せっかく先行研究を読んだのであれば、整理するのにとどまらず、多少なりとも批判的に検討することができたのではないか。展開したい持論があったのであれば、より丁寧に既存の文献と対峙する必要があったのではないか。そうすることで、卒論を書き上げた際の達成感は、やはり違ってきたように思われる。私自身の反省も述べたい。春学期は就職活動に追われざるをえないが、特に夏休み中の進捗管理をもっとしっかりやるべきであったと思う。ここをしっかり押さえれば、秋学期に踏み込んだ取り組みができたはずだから。また、ユニークな視点を持っていながらスタートがかなり遅れたことで惜しまれる結果になった論文もある。どうして遅れたのか、よく分からない。今後、分かるように努めたいと思う。 |
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キーワード1 | 雇用流動化 |
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キーワード2 | 長期保障 |
キーワード3 | 積極的労働 |
キーワード4 | 市場政策 |
キーワード5 | 解雇規制 |