卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名冨田 安信 年度2017年度
タイトル男女平等を目指して-スウェーデンから学ぶこと
内容 本論文では、日本の根強い性別役割分業観についての実態と歴史を充分に踏まえたうえで、以前は日本と同じような状況下であったスウェーデンが、どのようにして現在のように行き届いた福祉制度、高い女性の就業率、男女平等な国へと発展したのかついて明らかにした。
日本とスウェーデンの間で、男女の育児休業制度や賃金格差などの比較を行い、日本に比べてスウェーデンでは、男女が共に仕事と育児を行うことができる育児保障制度が整っていることが理解できた。賃金格差の点においても労働組合の厳重な監視により、その差は小さく、女性をメインの労働力とすることが最重要課題になっていることが理解できた。日本がスウェーデン型の充実した社会保障システムを模倣することは、政治・政府への信頼度の差から現実的に困難であるが、日本の性別役割分業感を根絶するためには、長時間労働の是正、待機児童の削減、男性の育児休業取得率の向上の3点が改善策として考えられた。
講評 今年度は、3人が女性労働を卒業論文のテーマに選びましたが、2人が他国の女性労働を調べたのが今年度の特徴でした。1人は、男女平等意識が定着し、女性の就業率が高いスウェーデンを取り上げ、とくに充実した仕事と育児の両立を助ける制度について詳しく調べました。もう1人は男女の役割分担意識が強いのに、女性管理職が多いフィリピンを調べました。女性が家事・育児をするという意識は強いが、それは妻・母でなくてもよく、家庭使用人でよいことが、女性活躍につながっているという結論でした。女性労働をテーマにしたもう1人はマタニティ・ハラスメントに注目しました。出産後も働き続ける女性が増えたために、顕在化するようなったハラスメントです。今年度は、3人が女性労働を卒業論文のテーマに選びましたが、2人が他国の女性労働を調べたのが今年度の特徴でした。1人は、男女平等意識が定着し、女性の就業率が高いスウェーデンを取り上げ、とくに充実した仕事と育児の両立を助ける制度について詳しく調べました。もう1人は男女の役割分担意識が強いのに、女性管理職が多いフィリピンを調べました。女性が家事・育児をするという意識は強いが、それは妻・母でなくてもよく、家庭使用人でよいことが、女性活躍につながっているという結論でした。女性労働をテーマにしたもう1人はマタニティ・ハラスメントに注目しました。出産後も働き続ける女性が増えたために、顕在化するようなったハラスメントです。
女性労働以外でも、産業関係学科らしく企業の雇用管理制度にかかわるテーマを選んだ人が4人いました。1人は日本の雇用システムのメリット・デメリットを考察した上で、雇用者ではない働き方について調べました。1人は、労働市場が流動化していくこれからの時代、スムーズに転職できるしくみとして、プロサッカーのレンタル移籍制度が参考になるとしました。もう1人は、自分の本来の感情とは異なる感情を演出しなければならないという、感情労働という新しい概念に使って、今、職場に生じている様々な問題を読み解きました。外国人労働者を取り上げた1人は、アジア諸国など送り出し国に日本が職業訓練学校を設立し、そこで現地人を訓練して日本に送り込むことを提案しました。
産業関係学を少し離れて、社会問題を卒業論文のテーマにした人も2人いました。日本の英語教育を取り上げた人は、語学研修を受けるためフィリピンに滞在し、フィリピン人がふつうに英語を話すのを目の当たりにして、フィリピンと比較しながら日本の英語教育を考察しました。もう1人は学校の部活動における体罰を取り上げました。その行為を体罰と思うかどうかは人によって異なり、こうした認識の違いが、体罰がなくならない理由であると彼は考えました。
卒業論文では16,000字以上書かねばならず、書けるのだろうかと不安になる学生も少なくありません。私はゼミ生には「君たちは4,000字のレポートなら書けるでしょう。4,000字のレポートを4つ書けば、卒業論文が出来上がるよ」と言います。もちろん4つのテーマがバラバラでは卒業論文になりません。まず、卒業論文で取り組みたいテーマを決めて、そのサブテーマを4つ考え、それらをどのように繋げば、1つの論文になるかを考えます。そして、それぞれのサブテーマについて4,000字でまとめるというのが私のアドバイスです。もちろん、調べていくうちに、サブテーマの数や、それぞれのサブテーマの字数も、最初の計画からどんどん変わっていきます。しかし、4,000字のレポート4つなら書けるかもという気持ちになれば、まず一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
キーワード1 性別役割分業
キーワード2 スウェーデン
キーワード3 女性活躍
キーワード4
キーワード5