卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名冨田 安信 年度2017年度
タイトル女性が活躍するために-マタハラの背景から考える-
内容 本論文では、グローバル化や高度人材への需要の高まりによって、世界で女性の社会参加が進んでいることを述べた上で、日本では女性活用が進んでいない原因を明らかにする。世界経済フォーラムによる「ジェンダー・ギャップ指数2017」で、日本は過去最低の104位となり、世界から見た日本の女性の経済や政治分野への参加割合の低さが指摘された。現代女性の社会進出を妨げている最大の原因は、日本社会の基盤にある「日本型雇用システム」と、「性別役割分業の意識」である。結婚や出産を経験する女性は企業にとって不安定な労働力であることや、会社のマネジメント層から受ける「マタニティ・ハラスメント」が大きな障壁となり、女性が育児をしながら働き続けることを困難にしていることがわかる。日本の多くの企業の中には、今までになかった、女性が活躍できる新しい働き方を導入している企業がある。こうした企業を参考にして、多くの企業がそれを導入できれば、女性の労働環境の改善に大きく貢献できると考えられる。
講評 今年度は、3人が女性労働を卒業論文のテーマに選びましたが、2人が他国の女性労働を調べたのが今年度の特徴でした。1人は、男女平等意識が定着し、女性の就業率が高いスウェーデンを取り上げ、とくに充実した仕事と育児の両立を助ける制度について詳しく調べました。もう1人は男女の役割分担意識が強いのに、女性管理職が多いフィリピンを調べました。女性が家事・育児をするという意識は強いが、それは妻・母でなくてもよく、家庭使用人でよいことが、女性活躍につながっているという結論でした。女性労働をテーマにしたもう1人はマタニティ・ハラスメントに注目しました。出産後も働き続ける女性が増えたために、顕在化するようなったハラスメントです。今年度は、3人が女性労働を卒業論文のテーマに選びましたが、2人が他国の女性労働を調べたのが今年度の特徴でした。1人は、男女平等意識が定着し、女性の就業率が高いスウェーデンを取り上げ、とくに充実した仕事と育児の両立を助ける制度について詳しく調べました。もう1人は男女の役割分担意識が強いのに、女性管理職が多いフィリピンを調べました。女性が家事・育児をするという意識は強いが、それは妻・母でなくてもよく、家庭使用人でよいことが、女性活躍につながっているという結論でした。女性労働をテーマにしたもう1人はマタニティ・ハラスメントに注目しました。出産後も働き続ける女性が増えたために、顕在化するようなったハラスメントです。
女性労働以外でも、産業関係学科らしく企業の雇用管理制度にかかわるテーマを選んだ人が4人いました。1人は日本の雇用システムのメリット・デメリットを考察した上で、雇用者ではない働き方について調べました。1人は、労働市場が流動化していくこれからの時代、スムーズに転職できるしくみとして、プロサッカーのレンタル移籍制度が参考になるとしました。もう1人は、自分の本来の感情とは異なる感情を演出しなければならないという、感情労働という新しい概念に使って、今、職場に生じている様々な問題を読み解きました。外国人労働者を取り上げた1人は、アジア諸国など送り出し国に日本が職業訓練学校を設立し、そこで現地人を訓練して日本に送り込むことを提案しました。
産業関係学を少し離れて、社会問題を卒業論文のテーマにした人も2人いました。日本の英語教育を取り上げた人は、語学研修を受けるためフィリピンに滞在し、フィリピン人がふつうに英語を話すのを目の当たりにして、フィリピンと比較しながら日本の英語教育を考察しました。もう1人は学校の部活動における体罰を取り上げました。その行為を体罰と思うかどうかは人によって異なり、こうした認識の違いが、体罰がなくならない理由であると彼は考えました。
卒業論文では16,000字以上書かねばならず、書けるのだろうかと不安になる学生も少なくありません。私はゼミ生には「君たちは4,000字のレポートなら書けるでしょう。4,000字のレポートを4つ書けば、卒業論文が出来上がるよ」と言います。もちろん4つのテーマがバラバラでは卒業論文になりません。まず、卒業論文で取り組みたいテーマを決めて、そのサブテーマを4つ考え、それらをどのように繋げば、1つの論文になるかを考えます。そして、それぞれのサブテーマについて4,000字でまとめるというのが私のアドバイスです。もちろん、調べていくうちに、サブテーマの数や、それぞれのサブテーマの字数も、最初の計画からどんどん変わっていきます。しかし、4,000字のレポート4つなら書けるかもという気持ちになれば、まず一歩を踏み出せるのではないでしょうか。
キーワード1 女性活躍推進
キーワード2 日本型雇用システム
キーワード3 マタニティ・ハラスメント
キーワード4 仕事と育児の両立
キーワード5