学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 石田 光男 | 年度 | 2018年度 |
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タイトル | 「海外派遣者の再適応と課題ー2社の聞き取り調査からー」 |
内容 | 本論文では、海外勤務サイクルの最終である帰任後に着目し、重要であるが、最も見過ごされているのが現状である。先行研究で、帰任後2年以内に約25%の人が離職すると述べられた。一方で、企業が事業展開する上、高いコストかけて育成した優秀な人材を確保し、流出を防ぐことができれば、企業の人材不足の問題解決につなげることができると考える。海外派遣を経験した人材を有効活用することで、人材の多様性も実現できる。 実際に、トップメーカーである2社の関係者に、海外派遣者の現状、キャリアアップ、評価制度、海外派遣中・帰国後の対応などについて、聞き取り調査を実施した。両社とも、離職者がほとんどいなく、A社は独自の社員区分があり、ワークスタイルに合わせて調整が可能である。また、帰任前から定期的に面談、eラーニングを用いて日本側の社員との差をなくし、帰国後は社員同士が交流できる場を提供している。B社では海外派遣手当が手厚くある。キャリアアップできるかどうか評価者、海外派遣者の価値観が大きく影響する。B社およびそのグループ企業について、帰国後約8割の社員が不安を感じたため、情報共有方法の改善が必要と考える。 |
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講評 | 1.「海外派遣者の再適応と課題―2社の聞き取り調査から―」は海外派遣社の帰任後の適応のための人事施策を丁寧に調べた論文である。ただ本当に何が知りたいのかについての方法的考察が不足しているように思った。 2.全体の講評。 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 そこからが君たちの出発である。 いくつかのコメントをしたい。 第一、参考文献からの引用は丁寧にということを強調した。私は正直な論文が好きだ。だから他者からの引用と自分自身の言葉とを仕分けする作業は正直な自分になる作業である。その結果、みすぼらしい自分の発見に行き着くことが多いとは言え、かすかな輝やきをたたえている自分もそこにはかならずいるはずだ。その輝きを火種にこの人生を歩むのだ。 第二、実証的な研究であれ、文献研究であれ、自分を横に置いた論文はよくない。直ぐに反論があろう。実証研究であれば、事実に虚心に向かえば向かうほど自分などを出しようがないではないか、文献研究であれば文献の論旨を正しく追えば追うほど自分などを出しようがないではないかと。しかし、無限な事実の中からどんな事実が重要だと観るかに自分が現れるのだし、文献研究であればマル写しでない以上、自分の読み方が現れるのだ。その自分の現れ方、あるいは表し方が自分の個性であり、その説得力が自分の力量なのだ。そもそも自分を隠し続ける勉強などは面白くもないはずだ。勉強は打算でやるのではなくて面白いからやるのだ、ということをわかって卒業して欲しい。 第三、研究(勉強)と社会での仕事の関係。研究(勉強)は卒業でお終い、4月からは仕事という別世界だという理解は浅はかである。仕事を始めてみて本当の勉強が始まったと先輩たちは言う。実は地続きなのだ。全く二つの世界が別物であれば、いいですか、大学での勉強は無用だということになる。その気配が濃厚に漂っているのが現代日本ではあるけれど。仕事には実践が伴うが、勉強には認識という脳細胞の活動はあっても実践が伴わないという区分が先の言明の根拠になっているが、認識と実践とはさほど機械的に区分できない。「こう考える」、だからこうしてみようというように地続きになっている。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 |
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