学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 石田 光男 | 年度 | 2018年度 |
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タイトル | 漫画家の実態 |
内容 | 本論文では、近年社会問題として頭角を現してきた漫画家の職場状況を取り上げていこうと考える。具体的には、アシスタントスタッフに支払われる賃金が対価に見合っていないところから、私は利潤がそこに至るまでになんらかの問題点があるのではないかと考え利潤の流れの中で根本的な出版社から、末端のアシスタントスタッフまで幅広く理解し、社会問題を解決できる緒を提示することができるのではないかと考える。この考えが本論文の基本的なスタンスである。それをするにあたって、漫画家を大きく「大手出版社所属漫画家」と「中堅出版社所属漫画家」に分けさせていただき、それぞれの収入を参考文献からできる限り正確なものを算出させていただく。その後、新人週刊連載漫画家の支出を佐藤秀峰氏の体験談よりできる限り正確なものを算出していく。又、電子書籍の分野にも触れ、出版業界の仕組みを少し理解したのちに、問題点、疑問点を提示する。それらに対して私自らの考えを投げかけていくことで問題解決に至ろうと考える。 |
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講評 | 1.「漫画家の実態」は漫画という商品のバリュー・チェインを記述している点が評価できる。バリュー・チェインを追いかけている態度がよい。これも産業関係学である。 2.全体の講評。 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 そこからが君たちの出発である。 いくつかのコメントをしたい。 第一、参考文献からの引用は丁寧にということを強調した。私は正直な論文が好きだ。だから他者からの引用と自分自身の言葉とを仕分けする作業は正直な自分になる作業である。その結果、みすぼらしい自分の発見に行き着くことが多いとは言え、かすかな輝やきをたたえている自分もそこにはかならずいるはずだ。その輝きを火種にこの人生を歩むのだ。 第二、実証的な研究であれ、文献研究であれ、自分を横に置いた論文はよくない。直ぐに反論があろう。実証研究であれば、事実に虚心に向かえば向かうほど自分などを出しようがないではないか、文献研究であれば文献の論旨を正しく追えば追うほど自分などを出しようがないではないかと。しかし、無限な事実の中からどんな事実が重要だと観るかに自分が現れるのだし、文献研究であればマル写しでない以上、自分の読み方が現れるのだ。その自分の現れ方、あるいは表し方が自分の個性であり、その説得力が自分の力量なのだ。そもそも自分を隠し続ける勉強などは面白くもないはずだ。勉強は打算でやるのではなくて面白いからやるのだ、ということをわかって卒業して欲しい。 第三、研究(勉強)と社会での仕事の関係。研究(勉強)は卒業でお終い、4月からは仕事という別世界だという理解は浅はかである。仕事を始めてみて本当の勉強が始まったと先輩たちは言う。実は地続きなのだ。全く二つの世界が別物であれば、いいですか、大学での勉強は無用だということになる。その気配が濃厚に漂っているのが現代日本ではあるけれど。仕事には実践が伴うが、勉強には認識という脳細胞の活動はあっても実践が伴わないという区分が先の言明の根拠になっているが、認識と実践とはさほど機械的に区分できない。「こう考える」、だからこうしてみようというように地続きになっている。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 |
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