卒業論文詳細

学科教育文化学科 ゼミ教員名兒島 明 年度2023年度
タイトル社会活動経験が個人の「社会観」の変化に及ぼす影響 ―ボランティア活動経験者の語りから考える―
内容  本稿では、社会活動の経験が個人の「社会観」の変化に及ぼす影響について、大学在学時にボランティア活動という形で社会活動を経験した人物に対するインタビューを通じて検討した。得られた知見は以下の三点に整理できる。第一に、社会活動を経験した人物の多くは、活動以前に「社会」を捉える視点として、政治や仕事など具体的な対象・行為によって参画するものしてイメージしていたため、自身の生活と切り離されたものとしてイメージしていた。第二に、社会活動を経て、彼らは現在「社会」というものを、様々な問題を抱えつつも、今後自分自身が主体的に活動していく場として前向きに捉え直している傾向がみられた。第三に、このような「社会観」の変化には、社会活動の経験が彼らに「自分自身も社会の一員である」という認識と、「社会」を相対化して捉え直す契機を与えたという点で、影響を及ぼしたのではないかと考えられる。
講評 「社会とは何か」という問いは社会学の根底をなす問いですが、本論文が中心に据えるのは、日常を生きる人びとにとって「社会」はどのようにして意識されるようになるのか、という問いです。本論文では、そうした意識の変化を促進すると予想されるボランティア活動に注目し、ボランティア活動経験者7名に対するライフストーリー・インタビューを実施しました。調査の結果、継続的にボランティア活動に参加しながら他者とかかわり、直面する課題を共有する経験を通じて、自らも埋め込まれているものとして「社会」を実感すると同時に、自らが働きかけて影響を及ぼしうるものとして「社会」を対象化しえていることがわかりました。ボランティア活動の意義を当事者の経験から照らした研究と言えるでしょう。
キーワード1 社会
キーワード2 社会観
キーワード3 社会活動
キーワード4 社会の相対化
キーワード5