学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 冨田 安信 | 年度 | 2018年度 |
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タイトル | 「働き方改革」をどのように進めていけばよいのか |
内容 | 政府は日本の労働者一人ひとりが活躍できる社会を目指して「働き方改革」を進めている。しかし政府がいくら「働き方が変わります」と宣言しても、実際に改革を進めていくのは企業である。この改革が着実に実行されていくためには、企業が制度を理解したうえで、積極的に制度を運用していくことが必要である。「働き方改革」の大きなテーマとして、「同一労働同一賃金」、「長時間労働の是正」の2つを取り上げる。「同一労働同一賃金」については、非正規労働者の処遇を改善し、労働生産性の向上などが改革の趣旨であることを労使で理解する必要があり、この趣旨に反さないように法律を運用していかなければならない。「長時間労働の是正」については、時間外労働の上限規制ができたことが大きな変化であり、企業は労働時間を短くするだけでなく、業務の改善を行うことが必要となる。「高度プロフェッショナル制度」は、労働時間ではなく成果で評価するという制度であり、今までの長時間働けば評価されるという考え方を変えるものである。導入に際しては、適切な評価制度の困難さや長時間労働の助長などデメリットもあるため、労使で話し合って導入するかを決めるべきだと考えられる。 |
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講評 | 今年度、特徴的だったことは、「働き方改革」に関連するテーマを選んだ学生が14人のうち6人いたことである。「働き方改革」という見出しを新聞やテレビニュースで目にすることも多く、学生にとっても関心の高いテーマだったようである。2人は働いている人々に自発的に長時間労働する動機について聞き取り調査し、1人は参与観察で、飲食店やコンビニで社員が長時間労働せざるをえない原因について分析した。長時間労働を是正するためには、企業が人事制度を改革し、仕事を見直すことが必要である。「働き方改革」に関する厚生労働省のガイドラインを丁寧に読んだり、働き方改革に取り組んでいる企業の事例を収集したりして、学生たちは論文をまとめた。 男性の家事・育児参加に関連するテーマを2人が選んだ。1人は、男性が積極的に育児参加することで、男女の伝統的な役割分担意識が変化していくという視点で書き、もう1人は、男性の育児参加が進むと女性の仕事と育児の両立が可能になり、子ども数が増えるという視点で書いた。関連するが、女性活躍について書いた学生は、日本と同じく女性管理職が少ない韓国では、アメリカのアファーマティブアクション政策を取り入れ、積極的に女性管理職を増やしていることを紹介した。 教育に関するテーマで論文を書いた学生が2人いた。1人は子どもの学力は親の遺伝子や所得に影響されるだけでなく、家族、地域、学校での人間関係、つながりにも影響されること述べ、もう1人は、高校卒業時の進路選択の1つとして専門学校進学に注目し、専門学校に進学して卒業した人々に、進学した理由を聞き取り調査した。 中小企業の抱える問題について書いた学生は、人手不足、女性活躍、事業継承について文献で明らかになったことを、中小企業の経営者に聞き取り調査することで確かめた。AIの発達が人間から仕事を奪うのかをテーマに書いた学生もいた。AIが発達することは、人間から仕事を奪うというより、深刻な人手不足を解決することにつながるのではないだろうか。 今年度のゼミ優秀論文には「地域間労働移動-経済学の視点からー」を選んだ。日本全体で見れば労働者の地域間移動は減少しているが、東京への一極集中は続いている。その理由を経済学の考えを使って説明しようとした。よく参考文献を読み、適当な統計資料を見つけてきたこと、何よりも、需要曲線と供給曲線のグラフを使った分析したところに経済学らしさを感じた。 |
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キーワード1 | 働き方改革 |
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キーワード2 | 同一労働同一賃金 |
キーワード3 | 長時間労働 |
キーワード4 | 時間外労働 |
キーワード5 | 高度プロフェッショナル制度 |