卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名石田 光男 年度2019年度
タイトル新自由主義及び民主主義の批判~思想家西部邁の言葉を借りて~
内容 現代社会は新自由主義の価値観に著しく影響を受けている。巷に蔓延る自己責任論などはいい例だ。第一章は新自由主義が社会に何をもたらすかを理解するために、サッチャーリズムによりいち早く新自由主義を取り入れた英国に焦点を当てた。第二章はリバタリアンの問題点を探るために20世紀の経済学者の論争にフォーカスした内容となっている。新自由主義に問題があるのは自明のことであるが、サッチャーリズムなどを批判する側の思想にも危険な部分がある。そのことから本稿の後半部分では左派的な思想とは対極に位置する思想家西部邁の思想について詳しく言及した。西部邁の言葉を借りて、英国の左派活動家であるオーウェン・ジョーンズへの批判したのが第三章である。第四章では第三章で言葉を借りた西部邁の思想における民主主義に関連する部分をピックアップした。最終章においてはオーウェン・ジョーンズの思想が含んでいる危険性を再度批判しながらも、そこにある力強さを西部邁の思想と比較しながら示している。
講評 「サッチャリズム及び民主主義への批判」は、オーウェン・ジョーンズのサッチャリズム批判を問題の出発点に置いて、批判が民主主義を根拠にしているので、その民主主義についての批判者である西部邁の諸説を検討するという二段構えの論文である。西部の論理構築の説得力とオーウェン・ジョーンズの筆法の魅力との間で評価の難しさに困惑する筆者がいる。この困惑からの脱出についての省察の時間がなかったのが残念であるが、野心的な論文である。
キーワード1 新自由主義
キーワード2 サッチャーリズム
キーワード3 民主主義
キーワード4 西部邁
キーワード5