学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 冨田 安信 | 年度 | 2019年度 |
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タイトル | 日本の保育・介護業界は何故大変なのか |
内容 | 本論文では、深刻な人手不足になっている介護士・保育士に着目し研究を進めた。これ らの職業は少子高齢化社会の中でも、非常に需要がありかつ必要不可欠な職であるにも関 わらず、非常に過酷な環境と低賃金に悩まされている。まず、関連する統計データを集め て、保育士、介護士の業界の現状や構造を把握した。次に、実態をより具体的に理解する ため、保育士、介護士それぞれ一人にインタビュー調査を実施した。その結果、考えてい た以上に非常に厳しい環境で労働をしていることが把握できた。労働が過酷な理由として、 人を対象としている業務なので一般的な事務・営業のように仕事ノウハウに正解がないこ と。福祉業界は小規模な事業所が多く、少人数の職場であるため欠員の穴埋めの融通がき かないこと、身体的負担も大きく、身体が丈夫でタフ出ないと長期勤務が非常に難しいこ とが挙げられる。 |
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講評 | 今年度のゼミ生の卒業論文のテーマの特徴は、人手不足をテーマに選んだ人が3人いたことである。1人は保育士・介護士の、1人はコンビニ店員の、1人はトラックドライバーの人手不足を取り上げた。人手不足なのに賃金が上がらない理由はそれぞれの業界によって異なる。保育・介護業界は政府の助成金によって事業が運営されているため、助成金が増えないと賃金も引き上げられない。コンビニ業界はフランチャイズ制を取っており、本部が収益を高めようとする行動が加盟店の収益を圧迫するしくみになっており、店員の賃金を引き上げるだけの収益があげられない。運送業界は規制緩和により中小の運送会社が増加して過当競争となり、運賃が低下して賃金も低下した。 働き方改革やワーク・ライフ・バランスに関連したテーマを選ぶ人が多いのは最近の特徴であるが、今年度も3人がこのテーマを選んだ。1人は有給休暇の取得率の低さに注目し、定年後、継続雇用された高齢社員が有給休暇を取る現役社員の仕事をカバーするという提案をしている。1人は、睡眠時間が短くなると疲労が蓄積し、労働生産性が低下するという研究を紹介するとともに、多くの企業が取り組み始めている健康経営についても調べた。1人はオーストラリアの人々の余暇を楽しみ、仕事とのメリハリのきいた生活ぶりを紹介している。 他のゼミ生のテーマも簡単に紹介しておく。1人は、大企業は新卒一括採用、中小企業は経験者の中途採用が合理的である理由を、それぞれの雇用システムと関連づけて議論した。1人は外国人技能実習制度の問題とその原因を分析し、解決策として韓国の雇用許可制度が参考になることを提案した。1人は『LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略-』を読んで、時代とともに変化する働き方、とくに高齢者と女性の働き方、テクノロジーが仕事に与える影響について考えた。1人は若者の地方離れと東京一極集中の原因について調べ、若者の地方定着、地域活性化に必要な政策について考えた。 今年度のゼミ優秀論文には「運送業界の人手不足について」を選んだ。トラックドライバーの人手不足の現状、低賃金・長労働時間の現状を統計データによって確認し、労働条件が悪い理由、改善しない理由を運送業界のしくみを詳しく見ることで明らかにした。そして、考えられる改善策について提案している。論文の組み立てがしっかりしており、後輩たちの参考になるのではないかと思う。 |
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キーワード1 | 介護士 |
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キーワード2 | 保育士 |
キーワード3 | 人手不足 |
キーワード4 | 長時間労働 |
キーワード5 | 低賃金 |