内容 |
波多野・小野寺(1993)によれば、看護師のアイデンティティ形成は6段階あり、そのうち4段階を看護学生の頃に経験する。本論文ではその4段階に焦点を当て、看護学生のアイデンティティ形成を調査した。看護学生を高校から進学した女子学生、高校から進学をした男子学生、社会人経験を経て進学をした社会人学生の3パターンに分類し、それぞれのアイデンティティ形成の特徴と流れに注目した。
その結果、看護学生のアイデンティティ形成が最も進む時期はやはり実習期間であり、それを促す最も重要な要因は、看護師という仕事にやりがいを見いだせるかどうかということが分かった。第1段階が「給料や安定」ではなく看護師の仕事内容をイメージして進学してきた学生は、やりがいに気付く段階も早期に訪れ、アイデンティティ形成も円滑に進む。高校から進学した女子学生のアイデンティティ形成の特徴は、実習期間に第2(不一致)、第3(同一視)、第4(役割シミュレーション)段階が急速に進むことである。高校から進学した男子学生の特徴は、男性ゆえに第3段階の同一視が進みにくい傾向がある。社会人学生は第2段階の不一致があまり大きくなく、最も円滑にアイデンティティ形成が進むことが明らかになった。 |