内容 |
本論文では、産業全体でICT化と同時に労働力の高齢化も進んでいる中、ICT化が労働現場に与える影響、特にICT化を受け入れ順応していくためには何が必要なのかを明らかにする。A社(タクシー会社)社長および別会社のドライバー4名を対象に聞き取り調査を行った結果、A社社長からは、ICT化によるコスト面やデータの管理、収益増加といったメリット面が大きくうかがえた。ICT化の受け入れに関しても、最初は戸惑いや躊躇があったが、基本的にはすぐに受け入れられるようになったということである。一方、4名のドライバーからは、ICT化が進むことに賛成でメリットを感じている人は多いものの、高齢ドライバーの一部には、従来の方法が変わることやICT化を受け入れるための講義や研修が面倒と感じ、難色を示す人がいるとのことであった。
得られた知見から、ICT化に順応するために必要なことは三つある。第一にICT化を高齢者に配慮して進めることである。高齢者の多くが機械に対して難しいと感じるため、なるべく簡単に使いこなせるようにしなければならない。第二に高齢者にICT化のメリットを表面上だけでなく心から理解させることである。第三に会社の上層部と現場のICT化に対する考えのギャップをなくすことである。 |