内容 |
本論文では、日本の新卒一括採用制度の歴史と現状について考察するとともに、新卒一括採用制度を日本型雇用システムと欧米型雇用システムのありようを通して浮き彫りにし、今後どうあるべきかについて検討した。新卒一括採用制度には、若年失業率低下を抑制する等メリットがある反面グローバル人材を確保しにくい等デメリットもある。だからと言って、グローバル人材確保のために通年採用制度へ移行すべきではないだろう。なぜなら、歴史的に見て、大学1年生から学業疎害が起こる恐れがある上、そもそも日本型雇用システムを変えない限り、グローバル人材を確保しても育たないからである。また、日本型雇用システムを変えるために欧米型雇用システムへ移行することも考えられるが、日本の失業率の増加や教育機関のあり方の見直し等、新たな課題が生じてしまう。もしこれらの課題に対応できるのであれば、新卒一括採用制度には課題が多くグローバル競争の懸念もあるため、欧米型雇用システムへ移行し、新卒一括採用制度を日本型雇用システムもろとも廃止すべきだと言える。ただ、もし対応できないのであれば、就職活動より学業を優先させるためにGPAを選考の重点に置く等、まずは現在の新卒一括採用制度を少しでも改善していくべきだろう。 |