内容 |
これまでの、終身雇用、年功序列型賃金、企業別労働組合といった日本的雇用慣行は崩れつつあり、現代では雇用の流動化が活発になってきている。筆者はこのような現状を、就職活動を通して知り、産業関係学科で学んだ日本的雇用の特徴と現代社会の状態にズレが生じているのではないかと考えた。小池と石田・樋口の文献を先行研究として用いたところ、両者は新卒から定年まで1つの企業で働き続けることを前提にして日本企業の人事制度の特徴について述べている。筆者は近年の労働市場について記述されている文献の研究、社会人2名へのヒアリング調査から、日本企業で行われる能力開発によって、企業横断的に活用が可能な能力が身につけられるということを主張する。これは現代社会が製造業中心の社会からサービス業が中心の社会に変化していること、日本企業の個別化が進んだ制度や労働環境が大きく寄与していると筆者は考える。サービス業が中心になることでマニュアル化することが不可能な個別性の高い仕事が求められる。また、他国に比べて個別化が進んだ日本企業の制度や労働環境によって、個別性の高い仕事に対応することが可能になり、高い個別性が求められるサービス業の仕事が大部分を占める現代社会においては、日本企業特有の能力開発は企業を渡り歩いても通用する能力を身につけられると考察する。 |