学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2020年度 |
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タイトル | 組織における一貫性の重要性 |
内容 | この論文では組織として成熟し、機能するためには何が不可欠なのかを考察する事が目的である。 その中で私は会社であれスポーツチームであれ、組織に分類されるコミュニティは現場レベルを監督する立場の人物が一貫性を持った行動や言動で現場を統括する事に加え、組織全体のフロントレベルを監督する立場の人物も一貫性のある行動を起こす事で組織は成熟するという仮説を立てた。 この論文では現場とフロントが明確に分離しているプロサッカークラブのガンバ大阪の事例から仮説の真偽を確かめて行く。 調査の結果私が立てた仮説が正しい事が立証された。2002 シーズンから 2011 シーズンまで監督を務めた西野氏や 2013 シーズン以降監督を務めた長谷川氏は一貫性のある戦術や共通理解を現場の選手に常に共有し要求し続けたことで組織をまとめ、成熟させていた事が判明した。フロント幹部もこの現場監督を全面サポート出来るよう、野呂社長は一貫して監督のサポート役に徹し、監督の補強リクエストに応える事で組織の成熟を後押ししていた。 一方、2013 シーズンコーチと監督を務めた呂比須とセホーンは一貫性のある戦術や共通理解を持たず、いわばアドリブでその日その日を過ごしていた。結果ガンバ大阪史上初の J2 リーグ降格という汚点を招いてしまった。 この論文で判明したことは、私の仮説通り「組織の成熟には現場監督レベル、フロント監督レベル双方の人物の一貫した行動、言動が不可欠だということである。 |
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講評 | 卒業論文の作成は、先行文献を集めて読み込み、時にはインタビュー等の調査を行い、それらの知見をもとに自らの考えを文章にまとめるという地味で忍耐を要する作業なので、 各人が関心をもって取り組むことができるようにテーマは自由とした。ただし、各自が選んだテーマと産業関係学との関係を論文の中で明らかにすることを条件としている。 今回提出された卒業論文のテーマは、組織や日本的雇用慣行など「労使関係」に関するもの、長時間労働、テレワーク、女性活躍など「働き方改革」に関するもの、プロスポーツ選手や各種講師などの「労働者性」に関するもの、貧困や雇用機会創出など「社会問題」に関するものに分かれている。文献研究が主であるが、聞き取り調査に基づいて考察を行ったものも複数みられた。 いずれの論文も先行文献を丹念に読み込んで、主要な議論を整理したうえで各自の見解が述べられていた。文章表現も的確であり、全般的に論文としての完成度は高い。提出者全員が卒業論文作成に懸命に取り組んだ努力は大いに賞賛に値する。この卒業論文は紛れもなく各人の「大学生活の到達点」であり、これを起点として社会人としての一歩を踏み出し、 さらなる研鑽を積んでもらいたい。 総合評価についてはいずれも甲乙つけ難いものであったが、最優秀論文は、「子どもの貧困における発生と連鎖のメカニズム-就労と教育による分析」とした。 評価を分けたポイントは分析力と構成力であった。一般に、論文作成に費やした時間に比例して論点把握や考察が深まる傾向がみられるが、本論文では、それに加えて、これまでに培われた分析力と構成力、文章表現力が多いに発揮されている。ことばの定義、文献考察の深さ、統計データによる論証、論理の展開、そして明快な文章表現は秀逸で、総合力として他を抜きん出ていた。 |
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キーワード1 | 監督 |
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キーワード2 | 共通理解 |
キーワード3 | 約束事 |
キーワード4 | 一貫性 |
キーワード5 |