学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 寺井 基博 | 年度 | 2020年度 |
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タイトル | 集団的労使関係から個別的労使関係へ-日本における従業員代表制の法制化をめぐって- |
内容 | 本論文では,日本における従業員代表制の法制化の可能性への検討を労働契約法の今後の在り方を考慮した上で行った。1990年代のバブル崩壊までは労働組合に代表される集団的労使関係が主流だった日本だがその就業形態が多様化する中で個別的な労使紛争が多発する時代に突入した。そして誕生したのが労働契約法である。その後,労働組合の組織率はさらに低下し続け集団的労使関係を担う法律として活躍していた労働組合法に代わって労働契約法が重視されるようになる。そこで,現在の労働契約法の行きつく先として①労働組合が再興し再び労働組合法が重視されるようになる,②労働契約法の更なる法改正,③ドイツが法制化する従業員代表制への移行の三つの可能性を視野に研究を進めた。その三つの可能性の中でも最も現実的である従業員代表制への移行に関して,本当に日本ではドイツのように法制化が可能なのかという点を考察した。欧米の課業設定の仕方が「静態的」であるのに対し日本は「動態的」であるという点に注目し,やはり日本での法制化は困難であるという結論が導かれた。 |
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講評 | 卒業論文の作成は、先行文献を集めて読み込み、時にはインタビュー等の調査を行い、それらの知見をもとに自らの考えを文章にまとめるという地味で忍耐を要する作業なので、 各人が関心をもって取り組むことができるようにテーマは自由とした。ただし、各自が選んだテーマと産業関係学との関係を論文の中で明らかにすることを条件としている。 今回提出された卒業論文のテーマは、組織や日本的雇用慣行など「労使関係」に関するもの、長時間労働、テレワーク、女性活躍など「働き方改革」に関するもの、プロスポーツ選手や各種講師などの「労働者性」に関するもの、貧困や雇用機会創出など「社会問題」に関するものに分かれている。文献研究が主であるが、聞き取り調査に基づいて考察を行ったものも複数みられた。 いずれの論文も先行文献を丹念に読み込んで、主要な議論を整理したうえで各自の見解が述べられていた。文章表現も的確であり、全般的に論文としての完成度は高い。提出者全員が卒業論文作成に懸命に取り組んだ努力は大いに賞賛に値する。この卒業論文は紛れもなく各人の「大学生活の到達点」であり、これを起点として社会人としての一歩を踏み出し、 さらなる研鑽を積んでもらいたい。 総合評価についてはいずれも甲乙つけ難いものであったが、最優秀論文は、「子どもの貧困における発生と連鎖のメカニズム-就労と教育による分析」とした。 評価を分けたポイントは分析力と構成力であった。一般に、論文作成に費やした時間に比例して論点把握や考察が深まる傾向がみられるが、本論文では、それに加えて、これまでに培われた分析力と構成力、文章表現力が多いに発揮されている。ことばの定義、文献考察の深さ、統計データによる論証、論理の展開、そして明快な文章表現は秀逸で、総合力として他を抜きん出ていた。 |
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キーワード1 | 労働組合法 |
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キーワード2 | 労働契約法 |
キーワード3 | 従業員代表制 |
キーワード4 | |
キーワード5 |