学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 樋口 純平 | 年度 | 2020年度 |
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タイトル | 医師の労働 -労働市場と小児科医の労働状況よりー |
内容 | 近年は医療の高度化や外来受診の増加に伴い、医師の過労や医師不足が問題視されている。本論文では、近年問題視されている医師の労働状況について、特に医師不足と過労が叫ばれる小児科医の労働状況を整理した。また、日本における医師数の調整メカニズムについても分析する。分析の結果、日本では医師が自由に診療科を選択することができ、専門医の認定についても各学会の基準に委ねられているため、医師の偏在が起こることが分かった。また、近年は医学部の定員も増加し、中でも女性医師が増えてきているが、女性の選ぶ診療科には偏りがあるため全体として医師の偏在に繋がっているともいえる。特に小児科では、小児人口の減少が見られるにもかかわらず、近年は夜間や休日の受診が多く、重症でなくても受診・入院することにより医師の負担が増加していることが明らかになった。さらに、現在の日本の法律では医師の労働時間について厳しい規制がないことも医師の長時間労働を招いていることが分かった。医療崩壊を防ぐためにも早急な法整備と国のコントロールによる偏在防止が望まれる。 |
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講評 | 卒業論文の作成にあたっては,自分が関心を持ったテーマについて,自分なりに研究してよかった,多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった,と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く,という気持ちが大切と思う。 とはいえ,単なる自己満足に終わってもよくない。設定したテーマについて,先行研究は何を語っているか,現状はどうなっているのか,を知る必要がある。すると通常は,よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも,卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは,たいへんむずかしい。それでも,よく選んだ文献と格闘することで自分なりの解釈を展開することはできるし,先行研究の隙間を見つけて自ら実態調査に取り組むことも可能である。 本年度の樋口ゼミ生の卒業論文は,どうであったか。多様なテーマの中にも,いくつかのパターンが見受けられたように思う。1つは女性活躍や長時間労働の問題等,例年見られる比較的オーソドックスなテーマを対象としたものである。選択されることの多いテーマとは言え,研究のプロセスで議論を重ねながら各自の問題意識と分析視角に応じた学びと納得の様子を確認することができた。また,別のパターンとして,3回生の学生研究報告会で取り組んだグループ研究のテーマ(「南アフリカの人事・労使関係」)を卒業論文として発展させたものもある。ダイバーシティの問題を軸として,日本企業への示唆を含めた分析と考察を展開している。海外の文献資料も含め,既に先行研究の検討と議論を重ねたテーマを各自でさらに深めたことによる苦労と達成感があったのではないか。さらに,医療従事者の労働問題や料理人の人材育成など,独自性の高いテーマに挑戦した者もいる。これらのテーマは指導教員の見識が限られている分,他のテーマ以上に自らの文献研究やインタビュー調査の努力が要求されることとなった。そこに各自の持ち味がよく表れたように思う。 以上のような本年度の卒業論文は,構想から準備,執筆に至るプロセスに例年よりも総じて遅れが生じた印象がある。今年は1学年あたりの人数が多かったことに加えて新型コロナウィルスの発生もあり,スケジュール管理や進捗管理が少なからず影響を受けた。こうした状況についての対応力向上は,来年度以降に向けた教員自身の課題としたい。 |
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キーワード1 | 偏在 |
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キーワード2 | 大学病院 |
キーワード3 | 医局 |
キーワード4 | 小児科 |
キーワード5 | 女性医師 |