学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 樋口 純平 | 年度 | 2021年度 |
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タイトル | ギグワークをめぐる一考察―日本の対面型ギグワークに注目してー |
内容 | 本論文ではギグワークと呼ばれる新しい働き方について、クラウドワークなどの類似概念との違いや欧米での法整備を参考に、今後の日本におけるギグワークおよびギグエコノミーの展望をまとめる。近年若者を中心にギグワークに従事する人口は急増しており、筆者もギグエコノミーにおけるサービスの需給両者に携わった経験がある。しかしながら日本国内でギグワークのみに焦点を当て、実態を明らかにする先行研究は乏しく、正確な従業者数や事業者数すら把握できていない。そこでまずシェアリングエコノミーやクラウドワーク、フリーランス的働き方といった類似概念と、それらが登場した社会背景や領域の違いを整理し、ギグワーク独自の線引きが可能かを考察する。そしてギグワークがどのようにして急増したかを明らかにするため、国内外に存在した労働需要や技術的背景を紹介し、日本におけるギグワークの今後の展望を考察する。 |
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講評 | 新しい働き方である「ギグワーク」の概念整理と労働実態に迫った。他の類似概念との区別を始めとして必ずしもクリアカットな分析に成功しているとは言いがたいが,この容易ならざるテーマに正面から取り組んだからこそ生じた悩みがよく伝わってくる。そのような苦しい考察の軌跡が,この論文の価値を高めている。 【全体への講評】 卒業論文の作成にあたっては,自分が関心を持ったテーマについて,自分なりに研究してよかった,多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった,と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く,という気持ちが大切と思う。 とはいえ,単なる自己満足に終わってもよくない。設定したテーマについて,先行研究は何を語っているか,現状はどうなっているのか,を知る必要がある。すると通常は,よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも,卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは,たいへんむずかしい。それでも,よく選んだ文献と格闘することで自分なりの解釈を展開することはできるし,先行研究の隙間を見つけて自ら実態調査に取り組むことも可能である。 卒業論文に真剣に取り組めば,書き進めるほどに執筆の目的が他者の評価よりも自分自身の納得に変わってくるように思う。「ここまで多くのことを書くつもりではなかった。」「ここまで内容にこだわるつもりではなかった。」ゼミ生が卒論執筆後にもらすこのような感想を,今年も聞くことができたことを嬉しく思う。 |
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キーワード1 | ギグワーク |
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キーワード2 | クラウドワーク |
キーワード3 | シェアリングエコノミー |
キーワード4 | 労働者性 |
キーワード5 | 労働法 |