卒業論文詳細

学科産業関係学科 ゼミ教員名樋口 純平 年度2021年度
タイトル労働の観点から見る地方創生 ―人口減少・東京一極集中に対して―
内容  本文では、地方創生について労働の観点を重視して現状の課題・方策について述べていく。地方創生とは人口減少、東京一極集中を是正し、地方の活性化を図り、将来にわたって活力ある日本社会を目指すものである。日本の人口が現状のまま推移していくと、数十年後、日本社会では、生産年齢人口、年少人口は減少していく。人口急減、超高齢化社会では、経済規模の縮小や自治体の担い手の不足など様々な問題を引き起こす可能性がある。この問題を解決するために政府は「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するなど、地方創生は日本の重要な政策課題となっている。人口減少・東京一極集中は地方創生と大きく関係しており、地方の労働の選択肢が狭いことから若者の人口流出が続いている。そのため、政府や地方自治体は地域に雇用を創出しようと様々な取り組みを推進している。地方創生を実現するためには、政府主導の推進も重視な要素であるが、地方自治体や企業などにおける地域住民の連携した取り組みを継続的に行なっていくことが必要である。
講評  自身の将来の仕事を産業関係学の視点から展望すべく,雇用・労働を中心とした地方創生の可能性を探った。問題の背景説明から労働市場の動向,中央・地方政府の政策展開まで,バランスのよい分析がなされている。地方創生の取り組み事例を,より一貫したパースペクティブで位置づけられるとさらによかった。
【全体への講評】
 卒業論文の作成にあたっては,自分が関心を持ったテーマについて,自分なりに研究してよかった,多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった,と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く,という気持ちが大切と思う。
 とはいえ,単なる自己満足に終わってもよくない。設定したテーマについて,先行研究は何を語っているか,現状はどうなっているのか,を知る必要がある。すると通常は,よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも,卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは,たいへんむずかしい。それでも,よく選んだ文献と格闘することで自分なりの解釈を展開することはできるし,先行研究の隙間を見つけて自ら実態調査に取り組むことも可能である。
 卒業論文に真剣に取り組めば,書き進めるほどに執筆の目的が他者の評価よりも自分自身の納得に変わってくるように思う。「ここまで多くのことを書くつもりではなかった。」「ここまで内容にこだわるつもりではなかった。」ゼミ生が卒論執筆後にもらすこのような感想を,今年も聞くことができたことを嬉しく思う。
キーワード1 地方創生
キーワード2 人口減少
キーワード3 東京一極集中
キーワード4 地域雇用
キーワード5