学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 樋口 純平 | 年度 | 2021年度 |
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タイトル | 建設業界の人手不足 ―要因分析と人財確保へのシナリオ― |
内容 | 本論文では、日本の建設業界における深刻な人手不足について、その実態を明らかにすることを目的としている。そのために建設業の業界特性に焦点を当てながら分析した。バブル崩壊やリーマンショックなどにより国内の建設需要が低下する中、東日本大震災や東京オリンピック、さらにはアベノミクスによる景気回復を背景に急速に建設需要が高まったため各建設企業で人手不足が深刻な問題として浮き彫りになった。建設業では全体的な就業者数の減少のみならず、若者離れと高齢化が極めて深刻である。他産業と比較して建設業は慢性的な長時間労働と休日出勤によりワークライフバランスが確保できず、過酷な労働に見合った賃金や雇用の安定性に欠けることから将来を悲観した労働者が離職する。こうした問題を根本的に解決するために建設業界全体で人手不足解消に向けた積極的な取り組みが必要不可欠である。今後の動向としては多能工職人の育成や女性・外国人雇用、ICTなどの最新技術を新戦力として活用する取り組みに注目が集まっている。 |
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講評 | 自身が将来携わる建設業界を対象として,人手不足の要因分析を行い,その対応について考察した。幅広い論点を巧みに整理しており,論文の構成と執筆における著者の優れたバランス感覚を示している。欲を言えば,そこから枢要な論点に切り込む展開を見たかった気はする。 【全体への講評】 卒業論文の作成にあたっては,自分が関心を持ったテーマについて,自分なりに研究してよかった,多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった,と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く,という気持ちが大切と思う。 とはいえ,単なる自己満足に終わってもよくない。設定したテーマについて,先行研究は何を語っているか,現状はどうなっているのか,を知る必要がある。すると通常は,よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも,卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは,たいへんむずかしい。それでも,よく選んだ文献と格闘することで自分なりの解釈を展開することはできるし,先行研究の隙間を見つけて自ら実態調査に取り組むことも可能である。 卒業論文に真剣に取り組めば,書き進めるほどに執筆の目的が他者の評価よりも自分自身の納得に変わってくるように思う。「ここまで多くのことを書くつもりではなかった。」「ここまで内容にこだわるつもりではなかった。」ゼミ生が卒論執筆後にもらすこのような感想を,今年も聞くことができたことを嬉しく思う。 |
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キーワード1 | 建設業界 |
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キーワード2 | 人材不足 |
キーワード3 | 長時間労働 |
キーワード4 | 職人 |
キーワード5 | 現場監督 |