学科 | 産業関係学科 | ゼミ教員名 | 樋口 純平 | 年度 | 2021年度 |
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タイトル | IT活用と業務効率化による働き方の変化 ―金融業界における分析― |
内容 | 以前から、業務のデジタル化が遅れていると嘆かれていたなか、新型コロナウイルスの影響により一層そのような現状が浮き彫りになった。本論文では日本が抱えている少子高齢化社会に伴う労働力人口の減少に焦点を当て、持続可能で豊かな社会を実現するためにも、労働生産性向上につながる業務効率化に注目し、私自身就職する業界である金融業界に絞って、IT活用の導入率や活用トレンドを中心に研究を進めた。 金融機関のIT活用は大きく5つに分類でき、その中でも業務効率化と深く関わるパーソナライズ化、プラットフォーム化について深く研究するため、IT活用をしている証券会社にヒアリング調査を行った。 ヒアリング調査の結果として、現在はIT活用をしなければ営業はままならないほど、重宝している。一方で、メリットばかりではなく、デジタル・リテラシーが乏しい世代にとってはタブレット端末の操作は難しく、リモート営業ではお客様に提案できる幅が制限されてしまい、質が下がってしまうという難点も回答として挙げられていた。これらの問題を対処するために、タブレット端末の操作ロープレを行い、場面場面に応じた対面営業とリモート営業の棲み分けが重要であると考える。 また、金融業界でIT活用が遅れている理由が・顧客のデジタル寛容度、・銀行のデジタル活用力の弱さ、・既存システム・テクノロジーの費用負担、・ハンコなどの既存のビジネス文化・慣行にあると考えた。上記の4点は、金融機関側としてはデジタル技術・サービスに対する不安を出来る限り払拭する努力、積極的に使用したくなるようなデジタル・サービスの提供が必要であり、一方で顧客側はIT活用を自分ごととして捉え、子供や孫など身近な存在からの働きかけが有効であると考える。 これから将来も金融機関が社会全体から信頼され、安心・安全に利用されるためにも、IT活用の重大さを再確認し、これからは国・金融機関・教育の各方面が三位一体となり、各々が主体的に行動することが必要不可欠であると考える。 |
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講評 | 自身が将来携わる金融業界を対象として,生産性の向上につながるIT活用のあり方を考察した。明快な構成と論旨展開に加え,「パーソナライズ化」と「プラットフォーム化」にフォーカスを絞り込んだ上でのヒアリング調査を行っている。そこから導かれる無理のない結論と展望も,著者の力量を感じさせるのに十分なものである。 【全体への講評】 卒業論文の作成にあたっては,自分が関心を持ったテーマについて,自分なりに研究してよかった,多少は苦しいながらも書き進める中に楽しさや充実感があった,と感じてほしいと思う。自分自身に向けて書く,という気持ちが大切と思う。 とはいえ,単なる自己満足に終わってもよくない。設定したテーマについて,先行研究は何を語っているか,現状はどうなっているのか,を知る必要がある。すると通常は,よく調べるほど自分に語るべきことがあまり残されていないことに気づく。そもそも,卒業論文でオリジナリティのある事実発見や考察を行うことは,たいへんむずかしい。それでも,よく選んだ文献と格闘することで自分なりの解釈を展開することはできるし,先行研究の隙間を見つけて自ら実態調査に取り組むことも可能である。 卒業論文に真剣に取り組めば,書き進めるほどに執筆の目的が他者の評価よりも自分自身の納得に変わってくるように思う。「ここまで多くのことを書くつもりではなかった。」「ここまで内容にこだわるつもりではなかった。」ゼミ生が卒論執筆後にもらすこのような感想を,今年も聞くことができたことを嬉しく思う。 |
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キーワード1 | IT化 |
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キーワード2 | 金融業界 |
キーワード3 | 労働生産性 |
キーワード4 | 労働力不足 |
キーワード5 | 業務改善 |