内容 |
本論文では、小売業におけるパートタイマーが、店舗経営に欠かせない中心的な役割を担う時代へと変化していることを背景に、小売業のパートタイム労働者における人材マネジメントの実態を明らかにした。パートタイマー活用の実態には、職場における量的基幹化と質的基幹化が進展しており、基幹労働力としての重要性が高まっている。パートタイマー活用において、小売業では均衡処遇・均衡待遇を目指すために、非正社員と正社員を含めてすべての雇用区分が再編することで新しい雇用区分を設定する動きや統一的な雇用保障や処遇の仕組みを作ることで均衡度を高めていこうという動きがみられる。そこで、小売業の中でも高いパフォーマンスをあげている企業を対象に、人材マネジメントの制度設計・運用の分析に基づいてパートタイム活用の先進的な実態を調査した。
調査の結果、パートタイム活用の先進的な実態として、2つのコースからなる雇用区分の設定により、キャリアアップの機会創出と柔軟性の向上、統一的な評価基準を図ることができているとわかった。また、H社は理念が土台となり、理念に結び付く形でドミナント戦略や人材育成、事業展開などが展開され、地域に愛される総合スーパーへと形成してきたことがわかった。さらに、調査結果からH社はパートタイマーを活用することで地域への密着度をより深くし、よりよい店舗運営を行っていると考察した。以上の3つからH社は高いパフォーマンスを発揮していると考える。 |