内容 |
本論文では、企業スポーツの成り立ち、存在意義、他のスポーツ界で行われているセカンドキャリア支援を調査すること、そして、実際に野球チームを持つ会社であるT社に勤務する現役選手のA氏、引退後に人事課で勤務するB氏にインタビュー調査を行うことを通じて、社会人野球選手のセカンドキャリアの実態の把握とセカンドキャリア問題の解決策を模索する。そして、企業スポーツのこれからの在り方について考察する。調査の結果として、一般社員と現役の企業スポーツ選手で大きな違いがあったのは勤務時間、評価方法の2つであった。中でも、評価方法については、現役の選手に対して、監督が評価を行うという、先行研究にはなかった情報を得た。
他の企業スポーツのセカンドキャリアに対する取り組みを調査することを通じて、一つの団体だけではなく、複数の団体が連携してそのスポーツ選手のセカンドキャリア支援を行うべきであると感じた。なぜなら、手厚いフォローや、所属するチームによって支援の格差が生まれにくいだけではなく、そのスポーツ界におけるセカンドキャリア問題が顕在化しやすく、対応が比較的速やかに行われると予想したためである。現在、複数の団体が連携して選手のセカンドキャリアを支援しているのは日本ラグビー協会であり、今後の企業スポーツの在り方の一つとして示したい。
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