内容 |
私たちは普段、動物を食べ、動物をまとい、動物を楽しみ、生活のあらゆる面で動物の犠牲に依存した暮らしを送っている。当然ながら動物の自由や権利は剥奪されるが、そのことに疑問を唱える人は少数派である。女子教育は必要ないなどの考えが女性を蔑視する差別意識からくるように、動物利用を常識と考える私たちは動物に対する差別意識(種差別)を持っている。種差別は父権制の中で作り出され、肉を消費するのは主に父権制における権力者であった。肉は「男らしい」食事とされ、複数の文献では肉食と「男らしさ」に関連があることが示されている。また、父権制では動物だけでなく女性も支配の対象となり、現在でも女性への暴力は父権的考えによって発生することがある。そして、女性に暴力を振るう男性は動物虐待経験者である場合が多く、父権的考えと種差別意識には何らかの関連があることが示唆される。筆者が行った調査では、女性を軽視するような父権的考えの強い男性は動物も軽視し、動物を軽視する男性は父権的考えも強い傾向にあることが分かった。無関係に思える女性差別と種差別には「父権制」という共通項があり、種差別意識の改善は女性差別根絶において重要な役割を持っているのである。 |